

1983年5月29日生まれ。千葉県出身。2006年に国立音楽大学音楽学部声楽学科を卒業。幼いころから歌が好きで、小学校3年生から大学卒業まで合唱を続ける。劇団四季時代は『ライオンキング』をはじめ数々の舞台に出演。2008年4月からNHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の11代目「うたのお兄さん」となり、番組史上歴最長となる9年間務めた。現在は、舞台・声優など幅広い活動を続けている。
ダメもとで挑戦した勇気ある姿は夢をかなえたい人のエールに、だいすけさんを支える家族の言葉は子育て世代に役立つヒントになります! 連載インタビュー「歌力」スタートです!
劇団四季を目指した理由

きっかけは、当時歌のお兄さんをされていた、ゆうぞうお兄さんの新聞記事です。
大学1年のとき、新聞の読者からの質問に答えるコーナーで「歌のお姉さんとお兄さんはどのように選ばれるのですか?」と内容を目にしました。
高校生のとき、「歌のお兄さんになる!」という目標をいだいていた僕にとっては、もっとも重要な情報!
同じ新聞を図書館で探し出してコピーして部屋に貼って、目標にしました。NHKの広報担当の方のコメントに、「笑顔を絶やさず、明るく歌をアピールするわけですから。子どもが好きであることも大切です」という文章に線を引きました。
進学した国立音楽大学では、声楽科を専攻しました。声学科では中学の教員免許はとれましたが、小学校や幼稚園、保育園の免許はとれなかった。小さな子どもたちに歌を届けるには、もう一回勉強し直さなければならなかったんです。
「『おかあさんといっしょ』のオーディションがなかったら、中学の音楽の先生になるのか?」と考え始めていました。
大学4年生になったあるとき、また新聞記事で、当時「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを務めていた今井ゆうぞうさんが、歌のお兄さんになった経緯が載っていました。
「劇団四季を経て……」という内容を目にして、「僕も劇団四季に行けば、話が来るかもしれない!」と思いついて、劇団四季を受けようと思ったんです。
入団試験まで1ヵ月ぐらいしかなかったんですけど(笑)。
完全素人の挑戦
僕って本当に、人生のターニングポイントは大体直感で進んじゃうタイプ。そんな僕でもさすがに「無理かな。次の年に受けようか……」と思いました。そこで以前お世話になった市民ミュージカルの先生に相談しに行ったんです。
すると、先生は「来年じゃなくて今年受けて、とりあえず自分の目で見て感じてきなさい」と。
「そうすれば次の年の試験まで、何を勉強して、何を強化していけばいいのか、どういうものが求められるのか、どんな人たちがいるのかっていうのは必ずわかるから。だから行ってきなさい」と言われて。よし行ってみよう!と決心しました。
ただ、ひとつ問題があって。僕。それまで踊ったことなかったんです。
劇団四季の試験を受けるのに踊ったことがないなんて、みなさんびっくりしますよね(笑)!
そこで、大学の大学院のバレエの先生に相談してみました。「劇団四季の入団試験を受けたいんですけど、先生、誰か僕にバレエ教えてくれませんか?」って。すると先生から「初級者クラスへ来なさい」と言ってもらって、レッスンに参加させてもらえることになりました。
普通の一般女性しかいないクラスです。必要なものは、レッスン着。「ぴったりしたものを持ってきて」って言われたけど、もちろんそんなの持ってない! やっと探して見つけたんです、ぴったりしたものが! 教室ではすごい恥ずかしかった思いをしましたが……。
僕にとって人生初めてのバレエ。やり方も何もわかんなかった。僕めちゃくちゃ体硬いので、始めのストレッチさえももう必死で! まわりのお姉さま方から「頑張ってね(笑)」って言われながら。受講はたった3回だけでしたが、ポーズやバレエの用語を覚えられるレベルでもなく、毎回見よう見まねで夢中で取り組みました。
完全な素人の、まるでコントみたいに動き。「これ本当に習う意味あるかな?」って自分でも不安になることもありましたが、とにかくワタワタしてる間に終わっちゃいました。