私にもそんな時代があったことをほんのり思い出しながら、子どもに読む時には、夢を壊さないように気をつける。
耳から楽しむ絵本
あるいは、読んでもらって覚えたお話を、あたかも文字を読んでいるかのように読み聞かせてくれる。その物語はおおよそ自分流。なんだか才能に溢れる3歳児なのである。となると、響きが印象的なお話は、やはり人気絵本として読み継がれていく。
真剣に耳を傾けている彼らにとって、「ちんぷくまんぷく」「めっきらもっきら」「どおんどん」というでたらめな歌が、面白くないわけがない。もちろん物語全体にリズム感があるからこそ、夢中になってしまうのだろう。
「かっぱ かっぱ かっぱ かっぱ」と声に出して読んでいると、いつの間にか「ぱかっ ぱかっ ぱかっ ぱかっ」と変身した馬が走っていく。見れば小さな子どもたちだって大笑い。聞いていれば、ちゃんと楽しめてしまうのだ。
空想と現実が溶け合う時間
「ママ あのね……きのうのよるね、うんとよなかに かわいいこが きたんだよ。」
大好きなお母さんをさがすよるくまのために奮闘しながら、男の子も、読んでもらっている自分も、母の声に包まれて眠りにつく。おやすみなさい。空想と現実が溶け合いながら過ごす3歳の時期に、こんな幸せな時間を持つことが重要なのは言うまでもない。