でも、どこかで信じている
空想の世界の存在を
一つは「おしいれ」、もう一つは「ねずみばあさん」。そのあまりに迫力のある風貌に「ねずみばあさんが出てくる絵本」として覚えている人も多いだろう。毎回手にとるたびに、こんな始まりでは5歳の頃の子どもたちは怖くて読めないのじゃないかと思ってしまう。
不思議な光が差し込んだかと思えば、トンネルのように見えていた壁の模様が本物となり、 そのトンネルを抜けた先には……? 読んでいる子どもたちは知っている。その先に続いている別の世界の存在を、そしてそこに向かっていく楽しさを。だからこそ、つばを飲み込みながらもじっと待っているのだ。