「魔の2歳児」惹きつける絵本とは? 絵本ナビ編集長おすすめ人気絵本

絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイ第3回

絵本ナビ編集長:磯崎 園子

絵本と年齢をあれこれ考える「たくましくって、奥深い」
絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイです。

第3回目は2歳と絵本「たくましくって、奥深い」。

やってきました「イヤイヤ期」

「魔の2歳児」との日常
「あ、いない!」

慌ててまわりを見渡すと、遠くの方に小さく見える息子の背中。

一目散に駆け出していくその先には、一体何があるというのだ。頼むから待ってくれ。かと思えば、その場所から一歩も動こうとしない。地面に転がり泣き続ける。

気がつけば部屋がめちゃくちゃ、お風呂に入らない、お風呂から出ない、服を着ない、首を横にふり続ける……はい、やってきました「イヤイヤ期」。その後、どう対処したのか覚えてもいない。

いわゆる「魔の2歳児」の時期。

思い出そうとすると記憶にもやがかかってしまうのだ。よくがんばった、私。

ところが困ったことに、たまらなく可愛いのもこの時期。

小さな手でおやつを口に持っていく姿、うどんを上手にすすれたと満足げな微笑みを浮かべ、大好きなものを見れば全身を使って喜びを表現し、ぬいぐるみやブロックで「自分の王国」を作り上げてしまう。

そして、たとえどんなに泣き叫ばれても、見れば一瞬で心が昇華してしまう天使のような寝顔。

恐るべし2歳児、よくできている。心が追いつかない。
寝ているときはこんなに天使なのに……

その姿に圧倒されながら

自分の意思を強く持ち始め、主張が激しくなる
まだまだ赤ちゃんの面影を残していた1歳から、急に子どもらしい雰囲気へと変化するこの頃。

とまどう親をよそに、彼らは思うがままにどんどん行動を起こしていく。

あれがしたい、これもしたい。自分でやってみたい、思い通りにしてみたい。

そして、そんな彼らにとっての大事な意思表示の方法こそ、首を横にふることなのだ。

「いやだ」

そうじゃない、こうでもない。理由を聞かれても困る。だけど、とにかく「なにかがちがう」。それだけははっきりとわかる。だから一心不乱に叫びつづける。
こうなるともうお手上げ……

「いやだいやだいやだー!」

ひたむきなその姿に圧倒されながら、気が付けば感動すら覚えるのである。

何かを追求し続けている。まるで欲望の塊。

2歳って、やっぱりすごい。

……はて、そんな彼らとの絵本生活。一体全体、どう楽しめばいいのだろうか。
次のページへ 注意をひく、夢中にさせる、解放していく
63 件