0歳児が喜ぶおすすめの絵本はコレ! 大人気絵本ウェブサイト編集長が推薦

絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子が『絵本と年齢をあれこれ考える』第1回「赤ちゃんは宇宙人!?」

絵本ナビ編集長:磯崎 園子

感覚を刺激してくれる絵本とは

では、感覚を刺激してくれる絵本とは。

まずは、。特にねんねの頃の赤ちゃんは、体を大きく使って反応することがあまりないこともあり、ぼーっとしているようにも見える。

だけど、そんな時は絵本を読んでいる「声」をじっと聴いているのかもしれない。好きな音やリズムを感じ、身近な人の声を覚え、自分なりの心地よさを満喫していたりして。

その積み重ねが徐々に反応として表れてくるのだろう。
例えば、ファーストブックとして0歳の赤ちゃんから圧倒的な人気を誇る『じゃあじゃあ びりびり​​』(まつい のりこ作 偕成社)。
「じゃあじゃあ びりびり」
絵本ナビに寄せられるレビューを読めば、「手足をバタバタさせて喜ぶ」「魔法の本だ」「釘付けになっている」という声が並ぶ。何がこんなに惹きつけるのだろうと、想像してみる。

まず、赤ちゃんは蛇口なんて知らない。紙がビリビリ破れることだって知らない。踏切だってまだ見たことがないし、自分があーんあーんと泣くことだって理解しているわけもなく。
だけど聞こえてくる「じゃあじゃあ」「びりびり」「かんかんかん」「わんわん」の響きは、意味がわからなくても確かに面白い。

続けて聞くと、もっと愉快。

ああ、これは「音」の絵本なのだと心底思う。そして、隣にいる不思議な形をしているものが、どうやらその音を発しているらしい。

そうやって、絵と言葉が結びついていくのだろうか。

『もこ もこもこ』(谷川 俊太郎・作元永 定正・絵 文研出版)のような摩訶不思議な絵本と並び愛される理由が理解できる。
「もこ もこもこ」
あるいは『がたん ごとん がたん ごとん』(安西 水丸・作 福音館書店)。

明快な色で描かれた、子どもたちの大好きな汽車がモチーフ。だから人気があるのだろうと思うけれど、絵本ナビでの主な読者層は0歳。
「がたん ごとん がたん ごとん」
「がたんごとんがたんごとん」「のせてくださーい」の繰り返しが心地よく、私も息子に何度となく読んだ。

ある時、電車の音を聞きながら勝手に体を揺らす息子を見て、はっとする。

本能で電車が好き、というのもあるだろうが、やはり彼はこの絵本を「音の絵本」として体感していたのではないだろうか。「がたんごとん」と聞いて、体の奥に染みこんでいたリズムが蘇ったんじゃないか、と。

そして、色の刺激

 一方、色の刺激をもらえる赤ちゃん絵本として、定番となりつつあるのが『しましまぐるぐる』(かしわら あきお・絵学研プラス)。
「しましまぐるぐる」
大人が読むと目が回ってしまうような、コントラストの強い赤と白のぐるぐる模様。だけど、ふと赤ちゃんを見ると、食い入るように見つめている。

白と黒だけなのに、形の変化だけで赤ちゃんを笑わせてしまうのが『はじめてのかたち FIRST LOOK』(駒形 克己・作 偕成社)。現代アートの様にも見えるこの絵本を、赤ちゃんはちゃんと感覚で受け取っているのだろう。
「はじめてのかたち FIRST LOOK」

やはり、顔。

月齢が低い赤ちゃんでも認識できる「かお」。

そして、おっぱいに似ている「まる」の形も大好き。その二つが目に飛び込んでくれば、思わず手をのばしてしまうのは当然の話。

お? かお!』(ひらぎ みつえ・作 ほるぷ出版)は、全面が顔になっている上に指で動かすことができるしかけ絵本。
「お? かお!」
『あかちゃん』(tupera  tupera・作 ブロンズ新社)は、色々な顔が登場する上に、絵本そのものが丸い形になっている。大人の遊び心もまとめて一緒に刺激してくれる赤ちゃん絵本というのも、面白い。
「あかちゃん」
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