体操のお兄さんになったその日に父が他界
そんなとき、体操のお兄さんのオーディションを受けないかと誘われたんです。当時付き合っていた彼女が、Eテレのラジオ体操のお姉さんをやっていて「体操のお兄さんのオーディションがあるらしい」と教えてくれて。ちなみにその彼女は、のちに僕の妻となる人です。「有名になりたい」なんて気持ちは全然なくて、正直興味本位だったけれど、受けてみることにしました。
当日は、リクルートスーツを着て会場にいったら、スーツを着ているのは僕だけで(笑)。受験者のほとんどが事務所に所属しているタレントさんで、表現力がすごかった。「これは絶対に落ちた」と思いました。
それからはお兄さんになる準備と、父の看病の日々で、毎日がバタバタでした。じつは収録の初日、父は亡くなりました。朝方、父を看取って、そのままNHKに行って3本の収録。正直ほとんど記憶はありません。でも収録が進むにつれて、地に足がついてきたのを覚えています。肉体を捨てた父が魂だけ一緒についてきて、僕を支えてくれたのかもしれないですね。
息子たちとの遊びでも手加減はしない
番組を卒業するタイミングで、結婚して子どもがいることが報道されました。当時「内緒にしているのは大変でしたね」とよく言われましたが、実はまったく隠すつもりはなかった。息子の幼稚園のイベントにも変装せず参加していたし、「おかあさんといっしょ」の収録に応募して、親子共演も果たしています(笑)。
体操教室をやっていて、いまの子どもたちや親御さんに感じるのは、危ないことを理由に挑戦をやめてしまうこと。たしかに運動していれば、すり傷や打撲を負うことはたくさんあります。でも小さな怪我をすれば、大きな怪我をしないように子どもたちは自然と学んでいく。怖がらずに楽しく、体を動かしてほしいですね。僕みたいに、砂場でバク転をしようなんて子はなかなかいませんから(笑)。……まあ僕の場合は、体当たりで負けず嫌いな性格だからこそ、人生がおもしろくなっている気がする。自分では結構、この性格を気に入っていますね。
佐藤弘道
1968年生まれ。東京都出身。日本体育大学体育学部卒業。1993年4月よりNHK Eテレ「おかあさんといっしょ」第10代体操のお兄さんを12年間つとめる。2002年に「有限会社エスアールシーカンパニー」を設立。幼稚園・保育園・こども園の正課体育及び課外体操教室で指導にあたる。2015年、弘前大学大学院医学研究科博士課程修了。親子体操について研究し、大垣女子短期大学客員教授や名城大学薬学部特任教授もつとめる。
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。