子どものぐずり泣きが大変! 原因と対処法を発達心理学の専門家が回答

こんなときどうする? 子育てQ&A#55「子どものぐずり泣きを改善したい! どうしたらいい?」

教育学博士:渡辺 弥生

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ぐずって泣かれると、ママやパパのテンションは下がるし、カッとなってしまうこともありますね。

子どもがぐずりやすいと、親御さんもイライラしてしまうでしょう。

でも、子どもだって不快な気持ちがいっぱいで苦しいのです。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「 子どものぐずり泣きを改善したい! どうしたらいい?」(1歳・男の子)

子どものぐずり泣きを改善したい! どうしたらいい? 写真/Adobe Stock

有効なのは気持ちを代弁する言葉

1~3歳の子どもがぐずるのは自然なことですが、それがひどい場合、大きく分けて三つの理由が考えられます。  

一つ目は、2歳ごろは自我が芽生えて欲求が高まるのに、それを伝える言葉が未発達だし、感情の調整もできない年齢だという点。

「自分でしたいのにうまくできない」「させてもらえない」といったときの、もどかしさや悔しさ、悲しさ、不安などの感情を、まだ泣くことや、かんしゃくでしか表現できないのです。

こういうぐずりは、言葉の発達とともに徐々におさまってきます。

今がピークともいえるので、泣く理由を親が想像して「悲しかったね」「悔しかったね」と気持ちを代弁し、共感してあげてください。

それが子どもが自分の感情を知るきっかけになり、早期解消につながります。
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こういうタイプだと割り切るのも方法

生まれたときから、よく泣いて機嫌がいいことが少なかったという子もいます。

これには気質が関係しています。

気温や明るさ、空腹、眠いなど、環境や状況の変化をとらえるセンサーの感度がよい子です。

ただ、ずっとこのままでは本人もつらいので、成長とともに変わっていきますが、今はまだ本能のままに不快感を表してしまうのです。

ママやパパもストレスがたまるでしょうが、「この子はこういうタイプだわ」と割り切ったほうが楽になります。

そして、その子のぐずりの特徴をよく見て、苦手な状況を少しでも避けるようにしてあげたらよいでしょう。

また、見方を変えれば、危険の察知度が高く、慎重に行動ができる子なのです。

親御さんがわが子の個性をポジティブにとらえることが、子どもの成長にプラスになります。
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子どもの気持ちによりそってみよう

また、ママやパパの子育てのクセがぐずりにつながっていることもあります。

まじめな親ほど計画通りに進めたがったり、こうあるべきという思いが強かったりして、子どもの気持ちを無視してしまいがち。

これがぐずりの原因になることも多いのです。

もし、思い当たるときは、試しに親御さんの予定や気持ちは少し脇に置いて、子どもの気持ちを汲むようにしてみましょう。

きっと泣かずにすむことが増えるはずです。

子どもがぐずりはじめると、ママやパパもイライラしてしまいますね。

でも、子どもだって不快な気持ちで苦しいのです。

ぐずる子に、怒りの表情で接すれば状況は悪化するばかり。

親御さんは少しでもストレスを解消して、共感したり、気分転換をしてあげてみてください。

きっと子どもが変わっていくでしょう。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

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