いうことを聞かない子どもをたたいて叱ってしまう 子育ての専門家が回答

こんなときどうする? 子育てQ&A#57「聞き分けがなく、いうことを聞かない子。たたいて叱ってはいけないの?」

教育学博士:渡辺 弥生

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いうことを聞かない子どもにガマンの限界!

ストレスがたまって、ときには手をあげたくなることもあるでしょう。

しかし、たたかれた子どもに残るのは「怖い」という感情だけ。

長い目で見れば歪んだしつけにしかならないのです。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「 聞き分けがなく、いうことを聞かない子。たたいて叱ってはいけないの?」(3歳・男の子)

聞き分けがなく、いうことを聞かない子。たたいて叱ってはいけないの? 写真/Adobe Stock

怖いからやめるだけ。むしろマイナスです

たたかれた子どもに残るのは、「ママやパパが怖い」という感情だけ。

即効性はあるかもしれません。

でも、怖いから「ごめんなさい」といっているだけで、長い目で見れば「怖い人がいなければやっちゃう」という歪んだしつけにしかならないのです。

もし、よく効くからといって力で抑えつけていると、子どもが成長して親よりも体力が勝ったときに、その関係が逆転する可能性もあります。

たたくしつけは、瞬間的な効果はあるので、ついクセになります。

そして、力の使い方はエスカレートしがちです。

想像すると怖いですね。

マイナスになることはあっても、プラスになることはないのです。
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「手やお尻を軽くたたく程度なら大丈夫」は間違い

子どもが友だちに手をあげたときに、親が子どもの手をピシャリとやって、「痛いのよ。たたいちゃダメ」と叱りたくなることがあるかもしれません。

でも、これは間違いです。

なぜなら、1~3歳の子どもには、この親の思いは通じず、「ママやパパにたたかれた」という理解しかできないからです。

これでは「してはいけない」といっている「たたく」という行為をママ自らが実践しているのも同じ。

「欲求を通すときは力を使えばいい」と学習する結果になったりします。

では、罰としてお尻をピシャリとやる程度ならどうでしょう。

これも「親にたたかれる」ということに変わりありません。

軽くでも、体のどの部位であっても、手をあげるしつけは、やっぱりマイナスです。

また、脅すような言葉遣いも避けましょう。

たとえば、「そんな悪い子はママの子じゃない」「パパは、そんなことをする子は大嫌い」など。

子どもはショックなだけで、そこからはなにも学べません。
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では、どう叱ればいいのでしょうか?

子どもを叱るのは、なにがよくて、なにが悪いのかを教え、そのことを心の中に残してやりたいからですね。

それは、親が繰り返し態度で見せたり、話して聞かせたりしていくことでしか実現できないのです。

ただ、残念ながら、この方法はもっとも即効性がありませんが、根気よく継続していけば、少し先の将来には、子どもはそれを学びとっていきます。

叱るときは、子どもと目を合わせ、毅然とした態度で、それがなぜいけないのか、わかりやすく話しましょう。

親の真剣さは、1~3歳の子どもにも、ちゃんと伝わります。

いいことをしたときは、些細なことでも「ほめる」、してはいけないことは「理由を説明する」。

これがポイントです。

簡単ではないかもしれませんが、できる範囲でいいので、まず実践してみましょう。

大目に見られることはできるだけ許容し、これは絶対にダメということはしっかりと教えていけたらいいですね。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
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わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

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