子どもがものを投げたりする危険な行為をやめさせたい。どうすべき?
こんなときどうする?子育てQ&A#21「ものを投げたり、机から払い落としたりする危険な行為をやめさせたい」
2022.02.25
教育学博士:渡辺 弥生
「1歳4ヵ月の女の子ですが、気に入らないことがあると、ものを投げるようになりました。どう注意したらいい?」(1歳4ヵ月・女の子)
かんしゃくの場合と注意引きの場合があります
ひとつは、「かんしゃく」によるものです。
1~3歳の子どもは、言葉が未発達で気持ちを伝えられないし、自分の感情の理由もわかりません。そのため感情を行動であらわすのがふつうです。そういうとき、たまたま投げたり払い落としたりする行動パターンを獲得したのだと考えられます。
また、ほかの人がするのを見たことがきっかけになることもあります。かみついたり、髪をひっぱったり、たたいたりするなどの行動も、同じ理由からおこります。
もうひとつは、いわゆる「注意引き」です。
1~3歳は、大人が想像する以上に、親に関心をもってもらいたい気持ちが強い時期です。たとえば、ポイポイものを投げると、親の注意が自分に向くことを発見して、そういう行動をとることがあります。子どもは、叱られたとしても、ママが自分に関心を向けてくれることをしてしまうのです。
ですから、それをママが長々と叱れば、子どもの作戦成功ということになります。
「腹を立てたりすると、テーブルの上のものなどを払いのけるようにすべて床に落としてしまいます。熱いものなどがあると大変なので、すぐにやらなくなる方法を知りたい」(2歳・女の子)
真剣さが伝わる声や表情で止めたうえで対策を
「あぶないからダメよ」と、声と表情で、しっかりママの真剣さを伝えましょう。そのうえで、
●かんしゃくの場合
感情のコントロールができない年齢なので、まず気分転換をしてあげ、同時に、次の対応をしていきます。
言葉の発達が関係しているので、かんしゃくに対して怒るのではなく、原因を想像して、「○○がしたかったのね」「○○がいやだったのね」などと、ママが言葉にしてあげましょう。
丁寧に代弁していけば、ママの言葉を聞き覚えて、そのうち、「そうか、こういえばいいんだ」と気づき、言葉で伝えられるようになります。
●注意引きの場合
関心を引きたい気持ちでやっているので、長々と叱るのは逆効果。毅然とした表情と声で「ダメ!」と短く伝えます。
そのかわり、ひとり遊びをしているときなどに、「上手に遊んでいるね」「おもしろそうね」などと声をかけて関心を示しましょう。
子どもが「見て見て」というサインを送ってきたときは無視は禁物。笑顔で相槌をうつだけでも違ってきます。
こうすれば、気持ちが満たされ、叱られるようなことをする必要はないと知ることができます。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。