ごはんを食べずにお菓子ばかりほしがる どうすべき? 育児の専門家が回答
こんなときどうする?子育てQ&A#35「ごはんは食べずにお菓子ばかりほしがり困っています」
2022.03.30
教育学博士:渡辺 弥生
子どもがお菓子をほしがって泣いたりすると、「あと少しだけね」などといって、食べさせてしまいがちですが、食事の量に影響しては本末転倒ですね。
「ごはんは食べずにお菓子ばかりほしがり困っています」(2歳・女の子)
お菓子にはメリットもあります
食事は健康の源。
体や脳の成長が著しい時期の子どもは、栄養バランスのよい食事を1日3回楽しく食べることが大切です。
ただ、お菓子をすべて悪者にして、与えないというのはいきすぎです。
子ども時代の思い出のなかにお菓子のことがある人は多いはず。
実は、お菓子には長い歴史があって、時代時代でハッピーな気持ちをもたらしてくれる存在なのです。
がまんを教えるよいチャンスになります
心理学に「誘惑への抵抗」という考えがあります。
誘惑があっても、それに打ち勝つ力のことです。
子ども時代からこの力を少しずつつけていくと、自分の欲求をコントロールできるようになります。
1~3歳は、がまんが難しい年齢なので、大人がフォローしながら、その力を培っていってあげる必要があります。
お菓子のコントロールは、それを教えるよいチャンスともいえます。
その方法は、
◆皿に適量を出す
たとえば、「ご飯も食べるから3つね」と、皿に「1、2、3」と数えながら適量を出してあげましょう。
◆泣かれてもきっぱり断る
「もっと~」と泣かれても「もう、おしまい」と、きっぱり断って譲らないようにします。
◆見通しを教え、気分転換をする
「また明日、食べようね~」と見通しを伝えて、その約束を守るようにすると、しだいに「1回寝れば、また食べられる」というイメージが作れるようになります。
最初は泣かれるかもしれませんが、「○○して遊ぼう!」などと誘って気分をかえてあげましょう。
それでもおさまらないときは、泣きやむまで放っておくことがあってもかまわないのです。
手作りおやつもいい思い出になるはず
役には立ちませんが、子どもの楽しい思い出になるはず。
ただ、体にいい材料を使っているからといって、食べさせすぎには注意しましょう。
お菓子問題は厄介に思えます。
でも、子どもの成長にも役立つワザを使いつつ、食べさせすぎない、食べたら歯をみがくなどの基本を守り、子ども時代のよい思い出にしてあげられたら最高だと思います。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。