「よいことをどう教えればいいか」と考えましょう。
「ダメなこと、いけないことは、どう教えたらいい?」(2歳・男の子)
「よい方法を教えていこう」という発想にチェンジして
どちらも同じように感じるかもしれません。
でも、実は大違いなのです。
子どもにとっても、たとえば「廊下は走っちゃダメ」と教えられるよりも、「廊下はテクテク歩こうね。走るとすべって、イタイイタイするからね」と、正しい行動や理由を伝えてもらうほうが理解しやすいのです。
同時にママパパの気持ちも変わるはずです。
子育ての軸ができて育児の迷いも減っていくでしょう。
どんなふうに教えていったらいいの?
◆一つはインストラクションといって、説明する方法です。
子どもが悪いことをしたときは、「やめなさい!」と止めたうえで、わかりやすい言葉でどうしたらいいのかという方法と理由を説明してあげましょう。
どなったり、たたいたり、「そんな子は嫌いよ」と愛情を持ちだして叱るほうが効果的な気がします。
でも、それでは罰が怖かったり、ママパパの愛情がほしいという理由でやめるだけで、長い目で見たときに学びにはなりません。
いつかはかならず自分で考え、判断して行動しなくてはいけない時期がきます。
今はそのための積み重ねの時期です。
まず、子どもの両手を軽くにぎり、目を見て真剣な表情、静かな口調で伝えたらよいでしょう。
◆もう一つはモデリングといって、お手本を見せて教える方法です。
親が態度で示すのはもちろんですが、幼児期は絵本やDVDの利用もおすすめ。
親子で見ながら「これはいけないね。どうしたらいいかな~」「こうしたほうがいいね」などと、会話を楽しみながら伝えるとわかりやすいでしょう。
もちろん、これらをやれば1回でうまくできるわけではありません。
ママパパの教えを繰り返し聞くうちに、しだいに身について少しずつ自分で判断して行動できるようになっていくのです。
ママパパは根気がいって大変ですが、子どものちょっと先の成長を考えてあげながら上手に教えていきたいですね。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock

げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトで...
渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経...