2歳の子どもの言葉が遅いことが気になる 発達心理学の観点から回答

こんなときどうする?子育てQ&A#26「言葉の発達が気になる。正しくいわない、語彙数が増えない…」

教育学博士:渡辺 弥生

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言葉の発達は個人差が大きいので、2歳前後の時期は、おしゃべりが上手な子、苦手な子の違いが目立ってきます。そのため、どうしても言葉の発達の悩みが増える時期だといえます。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「もうすぐ2歳なのに言葉が増えないのが悩みです。どう対応していけばいいでしょう?」(2歳・男の子)

言葉を増やすには? 写真/Adobe Stock

時期がきたら、爆発的に言葉が出るケースが多い

一般的に2歳前後のころは、「みかん、食べる」といった2語文が、2歳をすぎると、「ママ、ジュース、ちょうだい」のような3語文が出はじめるといわれています。

ただ、これは、あくまで目安です。言葉の発達は発語より聞いてわかるようになるのが先。

言葉が遅いと感じる子の大半は、「言葉をため込んでいる最中」なのです。

もう少ししたら、爆発的に発語する時期がやってきます。

ただ、まれになにか原因があることがあります。

●「言葉が全く出ない」
●「言葉を理解していない(耳の病気の可能性)」
●「発音がおかしい」
●「奇声が多い」

などの心配があるときは、小児科や保健所などの専門家に気軽に相談し、発達を促す関わり方を教えてもらうとよいでしょう。

「1歳9ヵ月の子です。絵本などを見せると見分けはついているのに、消防車でもなんでも『救急車』といいます。『消防車』と伝えても、『救急車!』といいはります。どうしてなのか不思議です」(1歳9ヵ月・男の子)

違う名前をいうのはどうして?​ 写真/Adobe Stock

教えようとするより、楽しく話しかけてあげて

たとえば、犬も猫も動物ならなんでも「ワンワン」と呼ぶのと同じですね。

言葉が出はじめのころは単語と概念の結びつきが大雑把なので、車はすべて「救急車」、動物なら「ワンワン」などといっても不思議ではありません。

焦って教育的に正しい言葉をいわせようとせずに、「赤いね ウーウーとサイレンならしているね」などと、楽しくいいかえてあげながら言葉の世界を広げてあげましょう。

そういう環境があれば、どんどん子どものなかに言葉がたまっていきます。

「2歳8ヵ月の子ですが、言葉が遅くて心配です。私や周囲の人がいうことは理解しているみたいなのに、声に出して言いません。どうはたらきかけていったらいい?」(2歳8ヵ月・女の子)

言葉が遅いときはどう働きかける? 写真/Adobe Stock

心配はため込まずに、ママが安心できる選択を

ママがあまり心配しすぎると、子どもは勘がよいのでそれを察して神経質になることもあります。

最近は、保健所など遠慮なく気軽に相談できる窓口がありますから、心配をため込む必要はありません。

専門家に相談すれば、遅れているかどうかだけでなく、言葉の発達についてや、はたらきかけ方などのアドバイスを受けられて安心できます。

言葉を聞いて理解しているようなら心配はいりません。毎日の生活のなかで、「おしゃべりは楽しい!」と子どもが感じられるようなはたらきかけをしていくことがいちばんです。

発語は地道に進むのではなく、あるとき急にあふれ出てくることが多いものです。

今は、楽しくリラックスできる環境のなかで、子どもがなにか言いたそうにしたときには、「そうね。○○ね」と気持ちを察して、代弁してあげるようにしていくといいでしょう。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

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