アメンボの名前の由来は「飴ん棒」飴のような甘い匂いがするってほんと?

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ

サイエンスライター:柴田 佳秀

アメンボにとって水面はクモの巣のようなもの!

匂いがする虫といえば、悪臭で有名なカメムシを思い浮かべます。それからわかるように、じつはアメンボもカメムシのなかまなんです。カメムシのなかまには、タガメやミズカマキリといった水生昆虫になったものたちがいて、アメンボもその1つなのです。

もうひとつアメンボには、カメムシの特徴があります。それは口です。口が針のようになっているのがカメムシの大きな特徴なのですが、アメンボの口も針のような形をしています。その口を水面に落ちた昆虫や死んだ魚などに刺して消化液を出し、肉を溶かしてチューチュー吸ってしまうのです。
オオアメンボの口
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アメンボは、いつも水面をすいすいと気持ちよさそうに泳いでいますが、これは空から落ちてくる虫を待っているところなんです。小さな虫にとって、水はネバネバしたもので一度落ちるとなかなか逃れられません。

そのとき、じたばたして水面に波が起きますが、アメンボはその波を脚で感じ取り、すぐに駆けつけて捕らえてしまいます。水面は、アメンボにとって正にクモの巣と同じ獲物を捕らえる罠です。のんびり水に浮かんでいるように見えますが、実際は水面の罠で獲物を虎視眈々と狙っている水面のハンターなのです。

ちなみに、生まれたばかりのアメンボも、食べものや食べ方は親といっしょ。小さなアメンボが獲物に群がる姿は、ちょっと怖い感じがしますね。
アメンボの子ども
ハエを食べるアメンボの子ども
ところで、水面を泳いでいるアメンボで、おんぶしているのを見たことがありませんか?
おんぶといえば親子と思いがちですが、アメンボの場合はオスとメス。上がオスで下がメスなんです。
おんぶしているアメンボ
このオスはいったい何をしているかといえば、メスが他のオスと交尾をしないようにガードしているのです。これをメイトガードといいますが、せっかく交尾しても他のオスと交尾してしまうと、生まれてくる子どもは自分の子どもでなくなる可能性が高いので、こうやってオスはメスが卵を産むまで交尾されないように、体を張ってガードしているわけです。
もちろんこの間は飲まず食わず。子孫を残すって本当に大変なことなんですね。
写真提供/柴田佳秀

アメンボが掲載されているMOVE

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しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。