絶滅の原因のほとんどに人間が関わっている!日本の鳥の絶滅の多くは「島」で起こっている!
MOVE「鳥 新訂版」より鳥類学者・川上和人先生のミニ講義! その7
2023.11.26
鳥類学者:川上 和人
人間に滅ぼされた鳥たち
1600年からの400年間で、世界の鳥のおよそ130種しゅが絶滅したと考えられている。絶滅した鳥には、とくに島に生息していた種が多くて、もともと数が少なかったことや天敵がいなかったことなどがよくなかった。そして、残念なことに地球上の多くの鳥に、今なお絶滅の危機がせまっている。
これまで起きた絶滅の事例
カロライナインコは、北アメリカにすんでいたインコで、数はリョコウバトについで多かったともいわれています。それが1918年に動物園で飼われていた、「インカス」と名づけられた最後の1羽が死に、絶滅してしまいました。絶滅の原因は、果樹園に害をおよぼすので駆除された、帽子のかざりとして羽がねらわれたなど、いろいろです。しかし、それだけで絶滅するまで数が減るとは考えにくく、カロライナインコのすんでいた湿地の森林が農地として開発されてしまったのが大きな原因だといわれています。
・雑種ができて絶滅
オオオビハシカイツブリは、中央アメリカのグアテマラにあるアティラトン湖にすんでいた、飛べない水鳥です。1966年の調査のときには、80羽しかおらず、減った原因は、湖がリゾートとして開発され、ブラックバスを放した影響によるものでした。その後の保護活動でいったんは増えましたが、1983年には32羽になり、近縁種のオビハシカイツブリが侵入して雑種となってしまい、ついに1987年に絶滅してしまいました。
・人間の乱獲によって、世界でいちばんたくさんいた鳥が絶滅
リョコウバトは、北アメリカにすんでいた体長40cmほどのハトで、世界でいちばんたくさんいた鳥といわれています。その数は、50億羽はいただろうと考えられていて、渡りの群れは、3日間たえることがないほど、たくさん集まっていたという記録があります。そんなにたくさんいたリョコウバトですが、人間が羽毛をとったり、食べるために銃や網を使って大規模に捕獲しはじめると、みるみる数が減り、ついに1914年にアメリカの動物園で飼われていた最後の1羽が死んで、完全に絶滅してしまいました。
川上 和人
1973年生まれ。森林総合研究所鳥獣生態研究室長。東京大学農学部林学科卒、同大学院農学生命科学研究科中退。農学博士。著書に、『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』『そもそも島に進化あり』『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』などがある。図鑑や絵本の監修も多く手がけている。 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 https://amzn.to/3ZR6LHO 『そもそも島に進化あり』 https://amzn.to/48Pvf8v 『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』https://amzn.to/3rMIJS0
1973年生まれ。森林総合研究所鳥獣生態研究室長。東京大学農学部林学科卒、同大学院農学生命科学研究科中退。農学博士。著書に、『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』『そもそも島に進化あり』『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』などがある。図鑑や絵本の監修も多く手がけている。 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 https://amzn.to/3ZR6LHO 『そもそも島に進化あり』 https://amzn.to/48Pvf8v 『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』https://amzn.to/3rMIJS0