日本だけで700種以上! カミキリムシの中でも特に美しい真っ赤なホシベニカミキリとは?

[ちょっとマニアな季節の生きもの]昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

真っ赤なカミキリを探してみよう

若洲臨海公園のホシベニカミキリ
カミキリムシの仲間は、日本だけでも 700 種類以上もいて、大きさ3ミリほどのヒシカミキリから5センチを超えるシロスジカミキリなどバラエティーにとんでおり、色や模様もさまざまです。

今回はその中の美しい種類を1つ紹介します。真っ赤な色のホシベニカミキリ。見たことありますか? どこにでも普通にいる種類ではないのですが、実は以前、場所によって大発生している所があったのです。

カミキリムシってどんな昆虫?

カミキリは種類によって幼虫が食べる植物がたいてい決まっています。だからカミキリムシを調べるには植物を覚えなくてはなりません。ほとんどのカミキリの幼虫は枯れ木を食べるのですが、一部に生きた木を食べるものがいて、木を枯らしてしまうことがあるため、そういう種類は人間に害虫扱いされてしまいます。おなじみのゴマダラカミキリも生きたイチジクやバラなどを食べるのでかわいそうに農家や園芸家に嫌われています。
ホシベニカミキリも幼虫が(成虫も)生きた植物を食べる種類です。ホシベニがつくのは、タブノキ。比較的温かい地域に生える木なのですが、このタブノキ、特に海岸に近い場所にある公園などに人の手で植えられることが多くなり、それと共に大発生していることがあります。
公園に植えられたタブノキ。
例えば東京都江東区の若洲臨海公園。元々海だった場所を(ゴミで!)埋め立てて公園にした場所です。今は美しい公園に生まれ変わってゴルフ場やキャンプ場があったりします。そこにタブノキがたくさん植えられました。
ホシベニを採るなら季節は「5月 20日ごろ」。まずはタブノキがどんな木なのか図鑑やネットなどで調べていきましょう。この時期、タブノキは若い葉を伸ばし始めます。そんな若葉を見ていくとショボンとしおれた新芽があるはずです。
左下のタブノキの新芽がしおれています
そこをさらに注意深く見ると、この真っ赤なカミキリがきっと見つかると思います。ホシベニの成虫は、タブノキの新芽をかじって食べるのです。あとは捕虫網をかぶせて捕まえます(タブノキは巨木になりますが、公園に植えた木なのでせいぜい高さ2~3mほどだから、見つけやすいのです!)
こんな小さな木にもいます
こうやって網ですくいます。
ここではホシベニはせっかく植栽したタブノキを食べて枯らしてしまう「大害虫」ですから怒られることはないはずです(苦笑)。さらに成虫のいたタブノキの幹を観察すると、ヤニが出ていることが多く、これは木の中に幼虫がいる証拠です。幹や太い枝に穴があいていれば、それは羽化した成虫が出た穴(脱出口)です。運が良ければ穴から出てくる新成虫も見つかるでしょう。
羽化して太い枝から出てきたホシベニカミキリ
うまくタイミングがあえば、何十頭も見つかるはず。ただ、複数の個体を生きたまま同じ入れ物に入れると互いに嚙み合って、ぼろぼろになってしまうので、1頭づつ別の入れ物に入れることが肝心です。
写真提供/伊藤弥寿彦
いとう やすひこ

伊藤 弥寿彦

Ito Yasuhiko
自然番組ディレクター・昆虫研究家

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクタ...