感涙の完成度! 変身ギミック入り「ウルトラアイ」開発者の誕生秘話
55年目に夢が実現!「ウルトラレプリカ ウルトラセブン 55th anniversary set」の再現度がスゴイ!
2022.09.19
伝説のウルトラ作品のシンボルが55年の時を経てよみがえる
『ウルトラセブン』は長きに渡るウルトラシリーズのなかでも、1、2位を争う人気作品だ。そして、その変身に欠かせない「ウルトラアイ」は作品のシンボル的存在。
子どもたちのハートをがっつりキャッチして、過去、何度も発売されてきた。だが実は、薄く細いフォルムが災いして、これまで変身シーンの効果音などの再現はできていなかった……。
ところが、放送開始55周年を迎える今年、ついに変身シーンの効果音などが再現できる「ウルトラアイ」が完成するというニュースが飛び込んできた! しかも、カプセル怪獣ケースと怪獣カプセルもセットという強力な布陣でだ。
55年間実現できなかった変身ギミックを、一体どうやって小さなフォルムに取り入れるのか……!? 我々は、開発責任者である、株式会社バンダイ トイディビジョン ブランドトイ企画部 企画3チーム 仲野剛史さんに独占インタビューを敢行! 開発秘話を明かしていただいた。
薄く小さな「ウルトラアイ」に電子回路を収められない苦悩
株式会社バンダイ 仲野 剛史さん(以下、仲野)
弊社では「ウルトラレプリカ」という、歴代ウルトラマンの象徴的アイテムをなりきり玩具にしたシリーズを長く発売しています。
しかしながら、セブンをモチーフにしたラインナップはこれまで発売していなかったので、記念すべき55周年の本年に、「ウルトラアイ」の商品化が頭に浮かんだのです。
と同時に、主役のモロボシ・ダンがカプセル怪獣を呼び出すシーンも、『ウルトラセブン』では特徴的な要素です。ですからカプセル怪獣ケースと怪獣カプセルもセットにすれば、もっとなりきりの要素が強くなるのではと考えました。
ーーそれでこの強力なセットが生まれたんですね。
仲野
でもセットにした理由は、開発的な部分からの理由もあるんです。セットにするからこそ、55年間実現できなかった変身シーンの効果音を入れることができるんですよ。
ーーええ!? どういうことでしょう?
仲野
もともと「ウルトラアイ」のデザインは薄く小さいため、スピーカーや電子回路を収めて、変身の効果音などを表現することが難しかったんです。過去に何度も設計に挑戦して、やむなく中止した経緯があるんですよ。
というのも、スピーカーや電子回路を仕込もうとすると「ウルトラアイ」自体を大きくしなければならず、イメージとのギャップが生まれてしまいます。かといって、電子回路をオミットして造形のみを追求したモデルとして発売するとなると、自社の過去商品や他社様の製品も含めて先行商品が多いため、バリューを打ち出しづらく成立しなかったんです。
そんな折、電子回路の小型化の試験研究を進めるなかで、「ウルトラアイ」のサイズに赤外線を送信するユニットまでは入る目途が立ちました。いまだスピーカーを収納するまでには至りませんが、スピーカーを外付けにして、赤外線を受信するユニットがもう1つあれば成立しそうだと。
それで、カプセル怪獣ケースにその役割を持たせれば、一挙両得というか、なりきり遊びの要素も兼ね備えられるのではとなったのです。
ーーなるほど。それでやっと今回商品化に結び付いたんですね。
あえて“左右非対称”な造形へのこだわり
仲野
「ウルトラアイ」の造形については非常に時間がかかりました。テレビシリーズに登場するウルトラアイのプロップは複数のモデルがあり、エピソードごとに細部のディティールや全体のシルエットが違うんです。
ーーそ、そうなんですか!?
仲野
はい、そのため、どのウルトラアイを目指して造形するのか、という定義づけに悩みました。
当初は、プロップ自体が現存している近年のモデルを参考に設計することを考えていたのですが、円谷プロの造形部LSS(Light Sculpture Studio)様から、「やはり『ウルトラセブン』といえば初期モデルのイメージが強いのでは?」というアドバイスを受けて、TVシリーズ初期に登場したモデルの造形を追求する方向に切り替えました。
『ウルトラセブン』はシリーズ初期の重要な作品ということもあって、LSS様も並々ならぬこだわりを持っておられました。最近の作品で登場するモデルは、比較的エッジの効いたシャープなフォルムになっているのですが、TVシリーズ初期の造形はシルエットに丸みがあったり、左右非対称ないびつさがあったりする形状なんです。
その細かいポイントについてLSS様にアドバイスをいただき、細かいニュアンスを調整していきました。
ーーあえての左右非対称とは! ものすごいこだわりを感じます。