田口監督と小柳さんに直撃! 『ウルトラマンブレーザー』スタッフインタビュー前編

監督の田口清隆氏と脚本・シリーズ構成の小柳啓伍氏の対談を実施!

テレビマガジン編集部

軍事考証という仕事

すべての画像を見る(全11枚)

軍事考証のお仕事は、どこから始まったのでしょうか?

小柳さん

私は、元々はアニメの現場で制作進行や設定制作の仕事を行っていました。ある作品でミリタリーな要素を扱ったときに、そのころからミリオタということが周囲の人たちに知られていたので、「ちょっといい資料探してきて」と言われたりなどして、普通に設定制作の仕事の範囲内で軍事考証のことについても行っていました。その後、会社を辞めてフリーランスになりまして、またミリタリー色のある作品に関わったときにチョロチョロと手伝うことがありました。そうしているうちに、業界で知れ渡ったといいますか、次第に正式なオファーがくるようになったんです。それが、『ひそねとまそたん』だったり、『ゴジラSP』などですね。

ほぼ完成した脚本に指摘をすると、ストーリー展開に齟齬が出てしまうこともあるんです。ほんとうは間違いだけれど、これを正すとストーリーが進まなくなると。現場の方たちもそれに気づいてくださったのか、これらの作品は最初から参加させていただいたのでありがたかったですね。『Z』のときはギリギリ間に合いました。
©円谷プロ ©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京 PHOTO/講談社

これまでに特撮作品はご覧になられていましたか?

小柳さん

世代だったのは、『ウルトラマンG(グレート)』と『ウルトラマンパワード』でした。それを観て面白いと思い、父親と一緒にレンタルビデオ店にいって『ウルトラマン』から遡り過去の作品も観ていましたね。

その後、『平成ゴジラ』、『平成ガメラ』を観てその後はハリウッド映画に傾倒していったのですが、特撮は観なくなったことはなかったと思います。『ひそねとまそたん』の作業が終わるかどうかの時に『ゴジラS.P』のオファーを受けて。その時のプロデューサーさんから「特撮って好き?」と聞かれて、「好きに決まってるじゃないですか」って(笑)。『ひそねとまそたん』のアフレコでも、横に樋口さんが座っていたのですが、「横に樋口真嗣監督がおる!」という興奮を抑えつつ「ミリタリーアドバイザーとしてはこれは違います」と冷静を装ってアドバイスさせていただいたりしていましたね。

ただ、最近はウルトラマンから離れていたんですよ。『Z』で作品に関わって、その後『ブレーザー』で構成をやらせていただくにあたって「今までの作品を全部見なきゃですね」と田口監督に話したら、「あえて観なくていい」と言われました。先入観に囚われず書けたのはよかったですね。
ウルトラマングレート。本作『ウルトラマンG』はオーストラリアで撮影された  ©️円谷プロ PHOTO/講談社
田口監督

こっちはもう、カチカチに固まっちゃってるんですよ。「新しいウルトラマンを作らなきゃいけない」という思惑は当然あるものの、僕はここ9年、ウルトラマンに関わってきたので、もうあらゆるパターンをやっているというのも実際あったので。

逆にいっぱいやった分、やってないことがごっそりその下にあるだろうという考えがありました。だからこそ、ここ最近のウルトラマンを知らない人と、ほぼ全部入っちゃっている人がアイディアを出し合えば、何か良い化学反応があるのではないかと思いましたね。

田口監督は、影響を受けた作品はありますか?

田口監督

影響を受けた作品は『ゴーストバスターズ』ですね。自分でも自覚してるくらい、かなりの影響を受けてるんですよ。真面目にしすぎない感じとか、非現実のなかでも生活感があるみたいな。小柳さんがハリウッド映画に傾倒したきっかけに『インデペンデンス・デイ』を挙げてましたが、僕も大好きです。あの時期のハリウッド映画の、CGとミニチュア、SFXとVFXのいい感じの境目にある映画がすごく好きなんですよね。あの辺が「刺さっちゃった」っていうのは、同じ世代としてすごくわかる。

僕は「特撮もの」を一度も卒業したことがありませんでした。僕の少年、青年時代って、毎年ゴジラがあって、途中からガメラがあって、さらに高校時代『ウルトラマンティガ』、『ウルトラマンダイナ』、『ウルトラマンガイア』が始まったんです。そんな流れがあったので、『ティガ』が始まったときに「ついに、リアルタイムで俺たちのウルトラマンが観られる!」と思い、高校のときは夢中で観ていましたね。そういう意味で、ウルトラマンシリーズでは『ウルトラマン』と『ティガ』に思い入れが強いです。また、その中継ぎをしてくれていた、小柳さんもあげていた『グレート』も好きですね。あの「海外で起きている感じ」みたいな、妙な生っぽさが好きです。
小柳さん

当時、ゲーム機の3DOがほしくて、量販店に翌年の『ウルトラマンパワード』のソフトが遊べる試遊台があって、毎日お店に通ってやってましたね。
田口監督

『トリガー』でパワードダダをモチーフにしたダダが出てくるとなったとき、「パワードのダダとは違う」という意味で少し違う名前をつけることになったのですが、小柳さんとその話で盛り上がっていたら、「PDO‐3」という「3DO」をもじった名前が出来上がりました。
『ウルトラマントリガー』に登場した、三面怪人ダダ(PDO‐3A)  ©円谷プロ PHOTO/講談社
次のページへ 『ウルトラマンブレーザー』の企画がスタート!
54 件