作家志望必見! 「講談社絵本新人賞」受賞作家・伊佐久美さんの「絵本創作」Q&Aを全文公開

絵本セミナー「絵本作家への道」質問コーナー続き 答えられなかった質問に答えます!

質問10:原画の用紙サイズをお教えください。

伊佐さん:ケント紙をB3サイズの木製パネルに水張りして使用しています。

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質問11:一日何時間ほど、作品作りに時間を使われているのでしょうか?

また、1作品を完成させるのにどのくらいの日数がかかったでしょうか。絵を描く気になれないときは、何をされてリフレッシュされていますか?

伊佐さん:原画は夜だと色がわからないので、昼間に自然光で描いています。毎日は描いていません。

昨年までは親の介護のための実家通いと、和菓子屋のパートをしていたので、昼間描ける時間は2時間くらいでした。土日も家族の用事があり、やはり2時間くらい。

今は親が近くに越してきてくれたので、移動時間はかからなくなりましたが、親の家にいる時間が長くなっているので、どう創作時間を捻出しようかと考えているところです。ラフはいつどこででも描けますが、絵の具を使うのはやっぱり自宅がいいので困っています。

でも考えてみたら、以前たまに丸一日、絵に時間を使える日があっても、2時間くらいで飽きて他のことを始めてしまっていたので、私には一日2時間で十分なのかもしれません。

質問12:おはなし、ラフ、下がき、清書それぞれに、試行錯誤をどれくらい重ねていますか?

このごろのSNSで見るイラスト動画などは下書きもなく天才的なスピードです (*_*) 私は考えすぎたり、迷ったり描きなおしたりと、時間をかけてしまいます。実際の現場(現状?)と、「とりあえず描く」 や「とことん悩む」など、よいさじ加減具合を教えてください。お願いいたします!

伊佐さん:「おおきくなったリス」では本番の大きさに描くラフまでに時間をかけました。それまでにきちんと決まっていると、絵の具やクレヨンを使いはじめても迷いなく描ける気がします。

「タコとだいこん」のときにはラフにあまり時間をかけなかったせいか、清書しはじめてから、何枚も描きなおしました。あとから黄色い袋をつけたりしたので。清書までにしっかり決めておいたほうがいいんだなあ、と実感しました。

SNSで描いているところを公表している方って、ものすごく上手ですよね。私も、すごい~! 天才~! とうっとりしながら見ています。

でも憧れたからといって上手に速く描けるようになるわけではないので、「自分は自分」と割り切って、のびのび描こうと思っています。私の場合は、気軽に描く。気軽に描きなおす。でもちょっとは粘る。という感じです。

質問13:実際に塗った色と印刷が仕上がった後、色味がだいぶ変わるものがあると思うのですが、どのようなことに注意して作業されていますか?

伊佐さん:絵本を出してもらえるとわかったときに、印刷用のカラーチャートを買いました。これに載っている色は全部印刷で出るはず! と半分思いながら原画を描きましたが、やっぱり難しかったです。

ある部分の色を調整すると他の色も一緒に動いてしまうのですね。奥が深いなあと思いました。経験を積んでいきたいです。

質問14:構図、色つけ、入稿時など、初めて絵本作りに挑戦する作家に向けてアドバイスをお願いします。

伊佐さん:構図の段階では、これから自分がこのお話を描くんだ。ということはいったん忘れて、無責任にどんどん描くのが良いと思っています。使う画材や、これを描くほどの画力は自分にはないなあ、と考えはじめるとお話が小さく狭くなっていってしまう気がするのです。(そして色つけになって、途方に暮れたりしています)

色つけの段階では、これぐらいでいいか。と思わないように頑張ります。うまくいかない場合も、面倒くさがらずに納得するまでやり直そうと心がけていますが、私は根気がないので大変です。できているのかどうか?

入稿の段階でやることは思いつきません。指示をきちんと書く、わからないことは聞くことくらいでしょうか。水彩色鉛筆など淡いきれいな色は印刷で出にくいと思うので、あらかじめ印刷用のカラーチャートなどを見て、使える色の範囲をイメージしておくのも良いかもしれません。

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いさ くみ

伊佐 久美

絵本作家

1970年生まれ、東京都在住。東京造形大学デザイン学科卒業。製版会社、デザイン事務所勤務を経て、2002年よりぬいぐるみ、雑貨等の制作・販売をするネットショップの運営をしている。2021年、第42回講談社絵本新人賞受賞。

1970年生まれ、東京都在住。東京造形大学デザイン学科卒業。製版会社、デザイン事務所勤務を経て、2002年よりぬいぐるみ、雑貨等の制作・販売をするネットショップの運営をしている。2021年、第42回講談社絵本新人賞受賞。