戦争はなぜ起こるの?「こども地政学」で知る“世界仲良く”が難しい理由

制作者インタビュー「こども地政学」#2 ~国々の関係性編~

ライター:遠藤 るりこ

国は席替えができない 2つの超大国に挟まれる日本

さらに、世界地図を見るとわかるように、日本は2つの大きな国=超大国に挟まれています。太平洋を越えて東の《アメリカ合衆国》、海を挟んで西の隣の《中華人民共和国》です。

「かつては自由主義の代表であるアメリカと共産主義の代表であるソビエト連邦(ソ連、現在のロシア)が超大国とされ、政治、経済、軍事の面で激しく対立していました(冷戦時代)。その後、1991年にソ連は崩壊して、超大国はアメリカだけになりました」(『こども地政学』より抜粋)

そんななか、近年、飛躍的に経済成長したのが中国。世界全体におよぼす影響力が大きくなり、アメリカと並ぶ超大国になっているのです。

「アメリカと中国、2つの超大国に挟まれている日本は、世界第3位の経済規模を誇る大国のひとつですが、残念ながら、世界全体に対して政治的にも経済的にも大きな影響力をおよぼすほどの力はありませんので、超大国とはいえません」(『こども地政学』より抜粋)

国と国の関係性は時代の流れとともに変化しても、位置は変わらないというのが地政学で大事なポイントです。

「教室内では席替えができますが、国はそうはいきませんよね。たとえ隣国が嫌いでも、いざこざがあっても、国同士の位置関係は変わらないのです。

当たり前のことですが、これをきちんと意識しておくことは、他国との関係を読み解くうえでたいへん重要です」(坪井さん)

世界にはいろいろなグループがある

クラスの中で仲良しグループがいくつかあるように、世界の国々にもグループがあります。こども地政学では、さまざまな世界のグループがわかりやすく解説されています。

「軍事面で協力するグループ、政治・経済面で協力するグループなど、目的に応じてさまざまなグループをつくっています。

世界平和の実現をおもな目的とするグループの代表格は、世界の193ヵ国が加盟している、国際連合(国連)です。

軍事的なグループの代表格は、民主主義国家である米英が中心になって生まれたNATO(北大西洋条約機構)。また、NATO非加盟国のなかでもアメリカにとって戦略的に重要な13ヵ国が同盟を結ぶMNNA(非NATO主要国同盟)もあります。

政治・経済面で協力するグループでは、日米英など先進7ヵ国が参加するG7(先進国首脳会議)が有名です(かつてはロシアも含めてG8でしたが、2022年8月現在、ロシアは参加停止中)。EU(欧州連合)やASEAN(東南アジア諸国連合)などの、地域連合もあります」(『こども地政学』より抜粋)

世界の国々は、政治的には対立していても経済面では協力したり、経済的に協力しているのに軍事的には協力しないなど、それぞれの事情を踏まえて複雑に絡み合うように協力関係を結ぶグループを組んでいるのです。

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