眼が「見えている」と「正しく動いている」の違い
「何度注意しても字がマスからはみ出す」
「音読で、文字を読み飛ばしてしまう」
「ボールをうまくキャッチできない」
「バットやラケットをふるタイミングが合わず、いつも空ぶり」
その「困りごと」、もしかしたらお子さんの不注意や不器用、努力不足ではなく、眼の機能の問題かも。
「視力」と「眼の運動機能」の違いについて考えたことありますか?
北出先生は「視力は端的にいうと『ものを見つめる力』、眼の運動機能は『眼を上下左右動かしてものを追いかける力』」だと解説します。
「黒板に“あ”という文字が書いてあったらその字を見て、“『あ』の字だな”と読みとれる。これが視力なんですね。対して眼の運動機能は、眼を動かす力のこと。眼球を動かす筋肉を使い、眼をいろんなところに向ける機能ですね」
例えばこんな文章があったとします。
① こんにちは、今日はいいお天気ですね。
② ○○さんはご機嫌いかがですか?
③ 私はあまりにも気持ちが良い気候につられて、洗濯物をたくさん干してきました。
「文章を眼で追って読んでいくとき、きちんと眼球が動かせているかどうかが注意点です」と北出先生。
「眼球が運動していれば当然始めから終わりまでスムーズに文章が読めるわけです。ところが眼が動きにくいと、文章を読んでいる際に次の文字を眼で追いかけることができず、下の行、横の行に視点がずれてしまったり、読み飛ばしてしまったり、全く離れた位置の文字をとらえたりします。①②③と読むはずが、①③となってしまうことも起こり得るのです」
発達障害(ADHD、LD、ASDなど)を持つ子どもたちのなかには、こうした「眼の運動機能」に問題を抱えているケースがあると北出先生は説明します。
眼球の運動能力は司令塔によってコントロールされています。その司令塔のある場所が前頭眼野。前頭葉の一部です。
「発達障害などの特性がある場合、前頭葉の発達に遅れが見られるケースもあります。このような発達遅れが影響して、眼球運動の弱さがあるということも考えられます」と北出先生。
ただし、眼の機能の弱さが直接的に発達障害の特性を生み出しているわけではありません。
ものをうまく見ることができないから、結果的に不注意や集中力低下、学習困難などの困りごとが起こり得ているのです。
そのため発達障害への支援と眼の機能改善を両輪で行っていくことが大切です。
「眼の運動機能をきたえていくと、結果的に、発達障害の困りごとが軽減する可能性もあると考えると良いですね」(北出先生)
「眼の運動機能」4つの苦手
一言では語ることができない「見えづらさ」。
では、眼の機能の不器用さにはどのようなケースが見られるのでしょうか。

























































































