「眼の筋トレ」ビジョントレーニングとは?
こうした苦手な4つの「見える」機能を改善するトレーニングが「ビジョントレーニング」です。
「見えづらい」からといってメガネをかけても、眼の運動機能は改善されません。
メガネによって補正されるのはあくまで「見える=視力」。「正しく動いている=視覚機能」とは異なるのです。
眼の運動機能をきたえるためには、ビジョントレーニングを重ねていくことが重要で、まさに「眼の筋トレ」といえるでしょう。
人は筋トレをすると、筋力がアップする他、代謝が向上するなど副次的な効果がでます。
眼の動きも同じです。「眼の筋力をきたえるビジョントレーニングを積み重ねると、眼の動く幅や距離のほか、視空間認知の向上がみられます」と北出先生は説明します。
眼の運動機能が改善すると、学習や運動の困りごとも軽減します。
何度読んでも読み飛ばしていた読書や音読、一生懸命書いているのにマスからはみ出してしまう板書、キャッチしようと思ってもいつもスルッと手から抜けてしまうボール……。これらがだんだんとスムーズにできるようになります。
「一生懸命トライしているのにうまくできていない」「なんだかいつもこぼしたり、あちこちにぶつかったりとフラフラしている」
我が子の動作に不器用さが多いとき、親御さんは「なんでいつもちゃんとできないの」「どうせあなたはいつもできないから」と感じるかもしれません。
しかしお子さんも「私はどうせうまくできないから」「ごめんなさい」と罪悪感を抱いているかもしれません。
弱ってしまった自己肯定感は、ビジョントレーニングを積み重ねることで「できた」「改善された」「褒められた」という喜びに変化します。そして成功体験をくり返すことで、次第に自尊心も回復していくでしょう。
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今まで「不器用だから」と思っていた我が子の一つひとつの行動が、実は「眼の運動機能」の影響があるのかもしれない──。そう知って驚いた方もいたのではないでしょうか。
実際にこれら「眼の運動機能」の問題は「視力検査を受けたり、眼科に通ったとしてもそう簡単には発覚しません」と北出先生は指摘します。
では一体どんなタイミングで眼の運動機能の違和感に気づくのでしょうか?
次回の後編では、我が子の困りごとを発見・相談するポイントやタイミングについて、また、今すぐできる「親子で取り組む簡単なビジョントレーニング」の方法について教えていただきます。
取材・文/永見 薫
※12月14日よりリンク有効
\視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!/
子どもの「発達特性」がテーマの記事
子どもの特性に寄り添う絵本・児童文学

\色覚障害をテーマにした物語/
トマトを区別できない、肉が焼けたタイミングがわからないことから、色覚障がいが発覚し苦しむ信太朗。母親は悪気なく「かわいそう」といい、試すようなことをしてくるし、症状を知らないクラスメイトから似顔絵のくちびるを茶色に塗ったことを馬鹿にされ、すっかり自信を失ってしまう。眼科の先生は個性のひとつと言ってくれるけれど、まわりがそうはとらえてくれないし…。
学年が上がり、クラス担任が変わり自分自身に向き合ってくれたことで、信太朗は自分の目へのとらえ方がすこしずつ変わっていくことに気が付く。

\困りごとを抱えている子どもに寄り添う/
【対象:小学校高学年以上】他人とのコミュニケーションが不得手なかえで。勉強はできないけれど、自然とまわりに人を集めてしまう湊。湊のせいで私立中学の受験に失敗したと思いこんでいる兄の聡。自分の中に「化けもの」が住んでいるからキレやすいんだと思っている和樹。マイナスの感情が心を占めると息ができなくなって叫び声をあげてしまう美咲。みんな、「困った子」なんかじゃない。「困っている子ども」なんだ。

\第60回野間児童文芸賞受賞作/
「ねえねえ。なに話してるの?そんなふうにいえればいいんだけど、わたしはおしゃべりができないから。」特別支援学校で長く現役教師をつとめながら児童文学作家としても活躍する、福田隆浩氏の感動作。重度の知的障がいのある小五の女の子、発語できない、すずと、お兄ちゃん、同級生、先生、保護者たちなど周りの人をめぐる優しい物語。第60回野間児童文芸賞受賞作。
見えない人と見える人が一緒に楽しめる「バリアフリー絵本」

\黒柳徹子さんの幼少期を描いた作品/
2024年公開の「映画 窓ぎわのトットちゃん」をもとにした、読みやすいストーリーブックを、点字つきさわる絵本にしました。美しいアニメ絵をふんだんに使い、その上に点字と触図を配置しました。ひとり読みだけでなく、読み聞かせにもぴったりです。小学校中学年以上向け。

\名作を点字と触図で楽しめる/
まっくらやみのあらしの夜、オオカミとヤギが繰り広げるハラハラドキドキの物語『あらしのよるに』の面白さを、点字と触図で再発見!たんに親本に点字がついているだけではなく、オオカミとヤギのちがいや、あらしの風雨や雷の様子を、見て・触って・読んで・楽しめる工夫が随所になされています。

永見 薫
複数の企業勤務後、フリーライターへ。地域や街、暮らしや子育て、働き方など「居場所」をテーマ に、インタビューやコラムを執筆しています。 東京都の郊外で夫と子どもと3人でのんびり暮らす。知らない街をおさんぽしながら、本屋を訪れる休日が好き。 X:https://twitter.com/kao_ngm note:https://note.com/kaoru_ngm
複数の企業勤務後、フリーライターへ。地域や街、暮らしや子育て、働き方など「居場所」をテーマ に、インタビューやコラムを執筆しています。 東京都の郊外で夫と子どもと3人でのんびり暮らす。知らない街をおさんぽしながら、本屋を訪れる休日が好き。 X:https://twitter.com/kao_ngm note:https://note.com/kaoru_ngm


























































































北出 勝也
一般社団法人 ビジョントレーニング協会 顧問・講師。視機能トレーニングセンターJoy Vision代表。 関西学院大学商学部卒業後、キクチ眼鏡専門学校を経て、米国パシフィック大学へ留学。検眼学(オプトメトリー)を学び、米国の国家資格「ドクター・オブ・オプトメトリー」を取得。帰国後、日本には数少ないオプトメトリストとして、見え方の悩みをもつ子どもやスポーツ選手の視覚機能の検査、トレーニング指導に従事。書籍の執筆や講演会、勉強会の講師など幅広く活躍している。 著書・監修書に『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』(図書文化社)、『発達障害の子のビジョン・トレーニング』(講談社)など多数。 ビジョントレーニングⓇ協会 https://vision-training.org/ 視機能トレーニングセンターJoyVision ユーチューブ公式チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCXirW05ufWuY57cIs7D9S_g
一般社団法人 ビジョントレーニング協会 顧問・講師。視機能トレーニングセンターJoy Vision代表。 関西学院大学商学部卒業後、キクチ眼鏡専門学校を経て、米国パシフィック大学へ留学。検眼学(オプトメトリー)を学び、米国の国家資格「ドクター・オブ・オプトメトリー」を取得。帰国後、日本には数少ないオプトメトリストとして、見え方の悩みをもつ子どもやスポーツ選手の視覚機能の検査、トレーニング指導に従事。書籍の執筆や講演会、勉強会の講師など幅広く活躍している。 著書・監修書に『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』(図書文化社)、『発達障害の子のビジョン・トレーニング』(講談社)など多数。 ビジョントレーニングⓇ協会 https://vision-training.org/ 視機能トレーニングセンターJoyVision ユーチューブ公式チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCXirW05ufWuY57cIs7D9S_g