障がい・年齢問わずの「インクルーシブ公園」が急増中! みんなで遊べてみんな楽しい!

シリーズ「インクルーシブ公園」最新事情#1‐1 TOKYO PLAY代表・嶋村仁志氏インタビュー ~インクルーシブ公園の特性~

一般社団法人TOKYO PLAY代表:嶋村 仁志

大事なのは設備以上に「互いを配慮する気持ち」

──そうなると、ユニバーサルデザインの視点で整備された公園が「インクルーシブ公園」ということでしょうか。

嶋村さん さまざまな考え方があるのですが、私たちTOKYO PLAYでは、施設のデザインや機能性の配慮を越えて、地域で暮らす人々、公園を利用する人々と一緒に作り続けることで、みんなが居心地よく遊べる場所を「インクルーシブな遊び場」と定義しています。

ユニバーサルデザインとは、すべての人にやさしく、どんな人でも利用できる便利なデザインのこと。ハード面を整えることはもちろん大事ですが、公園の設備や遊具をユニバーサルデザインにするだけでは、本当の意味でインクルーシブ公園とは言えません。

インクルーシブ公園は障がいの有無だけではなく、人種や国籍、ジェンダー、年齢など、さまざまなところで分け隔てなく、お互いが柔軟に配慮しあえることが重要です。

例えば、乳幼児を連れている親は、自分の子より体が大きくて遊び方も大胆な小学生が怖い。勢い余ってぶつかって、ケガでもしたら大変ですからね。小学生が公園に来ると帰ってしまう親子もいるぐらいで、そもそもコミュニケーションが成り立っていないのです。

でも、実際は親が小学生に「ここで遊んでてもいい?」などとちょっと声を掛ければ、意外と小さい子を気づかってくれたりもします。そうして、その場にいる人同士が思い合い、助け合えば、そこはインクルーシブな場所になるんですね。

──遊具などのハード面は前提として、それ以上に、利用者の配慮といったソフト面が必要なのですね。

嶋村さん そう思います。障がいのある子に対しても同じで、専門家であろうとなかろうと、困っているところを見かけたら「大丈夫ですか?」「お手伝いしましょうか?」と、気軽に声を掛けられる環境が理想です。

多動傾向のある子がいて、一見まわりが困っているように見える状況でも、実はいちばん困っているのは、その子だったりします。

公園を訪れる人がそういった眼差しで相手とのコミュニケーションを考えていくと、誰にとっても居心地のいいインクルーシブな公園になるのではないでしょうか。

砧公園「みんなのひろば」の大型ブランコには、通常のブランコのほか、寝転んだり、保護者や友達と一緒に乗ったりできる皿型ブランコも。背もたれと安全バーが付いたイス型ブランコもあります。  ⒸTOKYO PLAY
砧公園「みんなのひろば」の周囲は、緑豊か。木陰もあり、強い日差しを遮るパーゴラも設置されています。  Ⓒ(公財)東京都公園協会

後編も、引き続き、嶋村さんにインクルーシブ公園の課題とこれからの公園の在り方について伺います。

取材・文/星野早百合

嶋村仁志(しまむらひとし)
一般社団法人TOKYO PLAY代表、一般社団法人日本プレイワーク協会代表、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会理事、IPA日本支部運営委員、大妻女子大学非常勤講師。

1995年、英国Leeds Metropolitan大学ヘルス&ソーシャルケア学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年より、東京都「羽根木プレーパーク」、神奈川県「川崎市子ども夢パーク」など、冒険遊び場のプレーリーダー(プレイワーカー)を歴任。2010年、TOKYO PLAY設立時より代表に就任し、2005年から2011年には、IPA(International Play Association・子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア副代表を務めるなど、国内外で活躍。

共著に『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50:子どもの力になるプレイワーク実践』(学文社)。翻訳本も多数で、新刊『インクルーシブって、なぁに? ~子どもを分けない場づくり はじめの一歩~』(著:フィリップ・ダウチ/TOKYO PLAY)が発売中。1男1女の父。

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しまむら ひとし

嶋村 仁志

一般社団法人TOKYO PLAY代表

一般社団法人TOKYO PLAY代表、一般社団法人日本プレイワーク協会代表、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会理事、IPA日本支部運営委員、大妻女子大学非常勤講師。 1995年、英国Leeds Metropolitan大学ヘルス&ソーシャルケア学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年より、東京都「羽根木プレーパーク」、神奈川県「川崎市子ども夢パーク」など、冒険遊び場のプレーリーダー(プレイワーカー)を歴任。 2010年、TOKYO PLAY設立時より代表に就任し、2005年から2011年には、IPA(International Play Association・子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア副代表を務めるなど、国内外で活躍。 共著に『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50:子どもの力になるプレイワーク実践』(学文社)。翻訳本も多数で、新刊『インクルーシブって、なぁに? ~子どもを分けない場づくり はじめの一歩~』(著:フィリップ・ダウチ/TOKYO PLAY)が発売中。1男1女の父。 ●TOKYO PLAY ウェブサイト 

一般社団法人TOKYO PLAY代表、一般社団法人日本プレイワーク協会代表、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会理事、IPA日本支部運営委員、大妻女子大学非常勤講師。 1995年、英国Leeds Metropolitan大学ヘルス&ソーシャルケア学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年より、東京都「羽根木プレーパーク」、神奈川県「川崎市子ども夢パーク」など、冒険遊び場のプレーリーダー(プレイワーカー)を歴任。 2010年、TOKYO PLAY設立時より代表に就任し、2005年から2011年には、IPA(International Play Association・子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア副代表を務めるなど、国内外で活躍。 共著に『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50:子どもの力になるプレイワーク実践』(学文社)。翻訳本も多数で、新刊『インクルーシブって、なぁに? ~子どもを分けない場づくり はじめの一歩~』(著:フィリップ・ダウチ/TOKYO PLAY)が発売中。1男1女の父。 ●TOKYO PLAY ウェブサイト 

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。