片付けが身につく時期
秩序感は、厄介なことばかりではありません。きちんとする、ぴったり合わせる、ということにこだわるわけですから、上手に利用すれば、片付けや丁寧さが身に付く時期でもあります。
こうした工夫をすれば、子どもの秩序感を満足させてくれますし、あとになってから、「丁寧にしなさい!」「片付けなさい!」と叫ばなくてすみますから、ひと手間でずっと子育てが楽になります。
「輝く2歳児」へ
2つめは「自分でする」と訴える子どもたちへ、具体的な方法を示して援助してあげることです。モンテッソーリは、「ひとりでするのを手伝ってね」という言葉で子どもたちの心の声を表現しています。
2歳児はやりたいのにできないことが多くあります。
たとえば牛乳をパックから注ごうとしても、重くて持てませんし、こぼしてしまうでしょう。
でも、子どもの手に合う小さなピッチャーを準備し、そこから注ぐようにすれば、失敗することなく注げます。
小さいボタンが留めにくいなら、マジックテープやスナップに付け替えてあげれば、ひとりでできるかもしれません。
また、大きめのボタンとボタンホールで練習させてあげれば、すぐにコツをつかんで留められるようになるでしょう。最初は、やり方をゆっくり見せてあげると理解しやすくなるでしょう。
大切なのは大人が直接、手出し口出しをしたり、代わってやってあげたりせずに、子どもがひとりでできるためにどうすれば良いのかを考えることです。「やった!」「できた!」を積み重ねていけるように援助してあげましょう。
そんなこと、手間暇かかってしょうがない、大人がやった方が早い、と思われるでしょうか?
でも、この時期に大人が何でもかんでもやってあげると、自立への道が閉ざされてしまい、幼児後期の本来ならばひとりでできる年齢になっても、「できない」「やって」ばかりで、もっと大変になってしまいます。
秩序感を理解してあげること、ひとりでするのを手伝うことで、「魔の2歳児」ではなく、「輝く2歳児」「黄金の2歳児」の姿が見えてくるでしょう。かけがえのないこの時期を大切に過ごしましょう。
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連載第3回「3歳3ヵ月の男の子。片付けができるようになってほしい」 子育て相談 モンテッソーリで考えよう!
田中 昌子
上智大学文学部卒。2女の母。日本航空株式会社勤務後、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成通信教育講座卒。同研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター卒。国際モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。
上智大学文学部卒。2女の母。日本航空株式会社勤務後、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成通信教育講座卒。同研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター卒。国際モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。