「魔の2歳児。どう対応したらいいでしょうか」 子育て相談 モンテッソーリで考えよう!

第2回

モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長:田中 昌子

片付けが身につく時期

秩序感は、厄介なことばかりではありません。きちんとする、ぴったり合わせる、ということにこだわるわけですから、上手に利用すれば、片付けや丁寧さが身に付く時期でもあります。

靴置き場に靴を置く 2歳

こうした工夫をすれば、子どもの秩序感を満足させてくれますし、あとになってから、「丁寧にしなさい!」「片付けなさい!」と叫ばなくてすみますから、ひと手間でずっと子育てが楽になります。

「輝く2歳児」へ

2つめは「自分でする」と訴える子どもたちへ、具体的な方法を示して援助してあげることです。モンテッソーリは、「ひとりでするのを手伝ってね」という言葉で子どもたちの心の声を表現しています。

2歳児はやりたいのにできないことが多くあります。
たとえば牛乳をパックから注ごうとしても、重くて持てませんし、こぼしてしまうでしょう。
でも、子どもの手に合う小さなピッチャーを準備し、そこから注ぐようにすれば、失敗することなく注げます。

小さいボタンが留めにくいなら、マジックテープやスナップに付け替えてあげれば、ひとりでできるかもしれません。
また、大きめのボタンとボタンホールで練習させてあげれば、すぐにコツをつかんで留められるようになるでしょう。最初は、やり方をゆっくり見せてあげると理解しやすくなるでしょう。

ボタンつなぎ 2歳5ヵ月 
ボタン留めの練習(お魚)
ボタンの練習 2歳3ヵ月

大切なのは大人が直接、手出し口出しをしたり、代わってやってあげたりせずに、子どもがひとりでできるためにどうすれば良いのかを考えることです。「やった!」「できた!」を積み重ねていけるように援助してあげましょう。

そんなこと、手間暇かかってしょうがない、大人がやった方が早い、と思われるでしょうか?

でも、この時期に大人が何でもかんでもやってあげると、自立への道が閉ざされてしまい、幼児後期の本来ならばひとりでできる年齢になっても、「できない」「やって」ばかりで、もっと大変になってしまいます。

秩序感を理解してあげること、ひとりでするのを手伝うことで、「魔の2歳児」ではなく、「輝く2歳児」「黄金の2歳児」の姿が見えてくるでしょう。かけがえのないこの時期を大切に過ごしましょう。


もっと知りたいあなたへ

今回の記事のような身近な例を豊富に紹介。年齢別になっているので、今やるべきことがわかりやすい。
『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』  (著:田中昌子)
「秩序感」を利用して、ぴったり靴を揃えたり、布巾をきちんと畳んだりするなどの工夫をイラストで紹介。
『親子で楽しんで、驚くほど身につく! こどもせいかつ百科』(監修:田中昌子)

当欄に掲載されている記事、写真の著作権は、著者または撮影者、講談社に帰属します。無断転載、無断コピー、再配信等は一切お断りします


◆関連記事◆

連載第3回「3歳3ヵ月の男の子。片付けができるようになってほしい」 子育て相談 モンテッソーリで考えよう!

29 件
たなか まさこ

田中 昌子

Masako Tanaka
モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長

上智大学文学部卒。2女の母。日本航空株式会社勤務後、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成通信教育講座卒。同研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター卒。国際モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。  

上智大学文学部卒。2女の母。日本航空株式会社勤務後、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成通信教育講座卒。同研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター卒。国際モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。