学校に行かない選択 「不登校問題」に直面したママ4人が明かしたリアルエピソード
「不登校からの新たな道」と「学校との向き合いかた」を語り合った白熱座談会を緊急記事化
2023.08.21
コロナ禍でオンライン授業を経験した息子さんからの問いに、Aさん自身もうまく返答することができず、1年間くらいだましだまし登校させていました。
そして2年目の秋に行われた学芸会が大きな転機となったのです。息子さんにとって、なぜ大きな会場で知らない人たちの前で発表するのか? という疑問や嫌悪感。週1回登校を続けて学芸会を終えると、息子さんに残ったのは達成感などではなく、やっと終わった……という解放感だけでした。
それをきっかけに、だましだまし登校させることが難しくなり不登校になったといいます。
仕事をしていたAさんは本格的に息子と向き合おうと決意し、仕事を退職されました。そして現在は、学校と子どもが繫がるようにと母子登校を始めています。
「息子は見た目はとても元気です。しかし、心のどこかで自分の存在を忘れられてしまうのではないか……という不安もあるようです。勉強が嫌いなわけではなく、静かな環境で勉強したい! なぜみんな同じことをしないといけないのか? ということに違和感があったようです」
母子登校をしてみて変化はあったのでしょうか。
「友達と遊びたい! というようになりました。まだ2年生なのでどんなふうに心境が変化するかはわかりませんが……」
Aさん親子は、学校に行って授業を受けるということを目標にするのはやめ、学校に行くことで社会とつながるパイプを持つということを目標にしようと思っているそうです。そのパイプが途切れないようにとママが寄り添い、見守っています。
自宅学習の成果をどうやって学校に伝えるか? ママと子どもの二人三脚
子どもの行き渋りや不登校でママたちが悩む1つに、自宅学習の様子や子どもの頑張りをどうやって学校に伝えるか? という問題があります。
ママと子どもの二人三脚で乗り越えたBさんの話を聞きました。
「娘がゴールデンウィークを境に学校に行かなくなりました。この1年間で登校できたのは1学期に1回程度。コロナ当初でオンライン学習がまだ確立されていないとき、どうやったら自宅学習の成果を評価してもらえるのか? と悩みました」
どうやって学校に評価をお願いしたのでしょうか?
「体育、音楽などもできるかぎり取り組み、学習している姿を動画で撮影し、そのQRコードを提出しました。図工は教材を取りに行き、完成した作品を私が学校に持参しました」
自宅学習の成果の方法を試行錯誤するママの熱意が伝わります。
学校やさまざまなコミュニティとのかかわりかた
子どもが不登校になった場合、保護者と学校は、十分な連携や協力関係が必要となります。
元養護教諭だったCさんは、不登校児が多い学校で子どもたちのケア・サポートをしてきた経験があります。当時の不登校に対する学校の取り組みなどを教えていただきました。
「『まずは、学校まで行こう!』と教室には行けなくても保健室で過ごす、1時間でもいいから学校で過ごすなど、いくつかのステップを踏みながら、登校を促していました」
ほかにも、異年齢のかかわりを持つようにして友達と遊ぶことを目標にする、学校に来ることで生活リズムを整える、などのさまざまな取り組みを行ったと言います。
子どもによっては、プレッシャーを感じやすい子もいます。子どもが学校で過ごす時間に安心感を持っていられるかどうかがいちばん大事だとCさんは言います。
学校も、不登校の子どもが安心できる環境はなにかということを家庭といっしょに考えていく必要があると思います。学校行事やクラブ活動など、子どもの自己肯定感を高められるいろいろな機会を提供できるのが学校の良さではないでしょうか。
学校でしか得られないものもありますが、現在は、学校外にもさまざまなコミュニティがあります。
「フリースクールなど不登校になったときの支援がもっと広がればいいなと思っています」とCさんは語ってくれました。
不登校からの脱却! しかしコロナ禍の影響や長期休暇による弊害も
付き添い登校から毎日ひとりで登校へと状況が好転したものの、コロナ禍・長期休暇などで中断すると、また振り出しに戻るケースもあります。小学3年生のお子さんを持つDさんにお話をうかがいました。
「おそらく息子は分離不安のタイプなのかな、と思います。入学してすぐにコロナで長期休みとなり、家族といる安心した環境が長く続いた結果、学校に足が向かわなくなりました」
約2週間休んだときに、学校側から放課後登校を提案されたそうです。