不登校の子どもを追い詰める「親の不安」 2000人の子どもを見た識者に聞く「親の理解の仕方」とは
シリーズ「不登校のキミとその親へ」#7‐2 認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長・西野博之さん~不登校の子どもの世界と理解の仕方~
2024.10.15
認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長:西野 博之
例えば、突然我が子が学校を休みがちになったとき、親は「どうして?」「学校で何かあったの?」と、あれこれ原因探しをしがちです。親としては、その原因さえ取り除けばまた学校に行けると考えるからですが、私が出会った子どもたちの多くが、どうして学校に行けなくなったのか、「自分でもわからない」と話していました。
そしてその子どもたちのほとんどが、学校に行かなくなったときにはすでに、心身ともに疲れ果てている状態でした。
これはあくまで僕の推測ですが、学校での人間関係の不安や先生との相性、勉強やスポーツの「出来・不出来」など、さまざまな要因が複合的に絡み合って、頑張り続けた先に心と体が「もう無理」と悲鳴を上げる──そんな状態なのかもしれません。
いずれにせよ、心身とも疲弊した状態の子どもに向かって、「どうして?」「何があった?」と親が質問を浴びせ、原因探しをすればするほど、彼らは精神的に追いつめられていきます。
仮に原因を探し当て、解決できたと親が思っても、転校しても、子どもが再登校できるとは限りません。そんな単純なものではないのです。となると原因探しとは、納得したい親のためのようなものです。
本にも書きましたが、親のみなさんは、原因探しの代わりに、目の前の子どもの声に耳をかたむけ、言葉にならない子どもの思いに寄り添ってあげてほしい、と思います。