
トウモロコシの粒が10粒から600粒に増えた秘密とは? 人類の9000年の挑戦
野菜や果物は昔と今でどうちがう? ほりかわあきなさんにインタビュー (2/3) 1ページ目に戻る
2026.06.18
ライター:山本 奈緒子
「こんなに変わったの!?」とまずは純粋に楽しんでほしい
──『こんなにかわった! やさいくだもの むかし・いま』は、14種類の野菜や果物の昔と今の姿をすべて写真で比較しています。実寸大で見せているものも多く、その変化の大きさが一目でわかって、びっくりする楽しさでした。なぜこのような一冊を作りたいと思われたのですか?
ほりかわ:一番は、純粋にその変わりっぷりに驚いて楽しんでもらいたい、という思いからです。だから写真で掲載することにこだわったのですが、今も昔の姿のままで残っているものは珍しく、写真探しには苦労しました。担当編集さんが一緒に探し回ってくれたおかげで、作物の変化をリアルに感じてもらえる一冊になったと思います。
──たしかに、中にはものすごく起源の古いものもあって。読んでいると、私たちが今当たり前に食べているものはこんなに長く続いてきたものなんだ! と圧倒されるものもありました。
ほりかわ:そうなんです、今ある野菜や果物は、先人たちが品種改良を重ねながら脈々とつないできてくれたもの。じつは現在でも、一つの品種を改良して生み出すには、平均で10年ぐらい、果樹だと、数十年かかると言われています。そうした地道な積み重ねで築かれた長い歴史を感じながら“食材の現在地”を知ってほしい、という思いも込めました。
──絵本の中で紹介されている野菜や果物には、「約2000年前の弥生時代に日本につたわったらしい」などかなり詳細な来歴情報も載っていて、それも「へえ~」と興味深かったです。
ほりかわ:じつはそこもこだわったところです。物事の起源については「諸説あり」と、あいまいさを含むことが多いのですが、この絵本では、可能な限り、科学的にどこまで解明されているのか(あるいは、まだわかっていないのか)を明確にしようと心がけました。
具体的な数字が出せるようになってきたのも、近年ゲノム科学が発展して、植物の遺伝情報を調べるようになったことが大きいと思います。今回は、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)をはじめとする、作物ごとの専門家に監修してもらいましたので、科学絵本としても、自信を持ってお届けできる一冊となりました!
サツマイモはただの根っこ、トウモロコシは10粒くらいしかなかった!
──この絵本を見て、品種改良のスゴさというものにも気づかされました。とくにサツマイモの「むかし」は衝撃すぎて……。
ほりかわ:サツマイモの「むかし」は、もはや根っこ。サツマイモも“根菜”なので当たり前といえば、当たり前ですが、昔の人はよくこれを食べようと思ったな……と(笑)。
見た目のギャップ度でいうと、トウモロコシも面白いのでぜひチェックしてほしいです。こちらも「むかし」は10粒くらいしか実がなかったのが、今では平均600粒。しかも一粒一粒、みっちり詰まっています。
ほりかわ:その変化もすごいのですが、起源の古さにも圧倒されます。トウモロコシのご先祖様は「テオシント」という稲の仲間で、ここからトウモロコシが分かれたのが、紀元前7000年ごろとされています。つまり、今から約9000年前! そこから長い長い時を経て、今に至っているのです。
──それだけにトウモロコシは品種も豊富で、さまざまな用途のものが生まれていますよね。こういったお話もとても興味深く読みました。
ほりかわ:トウモロコシというと私たちがよく食べている「スイートコーン」が思い浮かびますが、それ以外にも家畜のエサとして栽培されている「デントコーン」、さらに接着剤の原料としても重宝されている「ワキシーコーン」など、いろいろあります。用途別に多様な品種が開発されている代表的な作物と言えると思います。
──そういう起源や品種改良の過程を知ると、普段食べている野菜や果物への関心も大きく高まりますよね。
ほりかわ:そういう意味では、サイエンスライターとして特に推したいのが、アズキです。これは2025年とつい最近発表された研究成果で、アズキの栽培化は日本で始まったことがわかっています。
アズキの祖先とされるヤブツルアズキはわずか0.3cmほどの黒い豆(タネ)。でも、今のアズキといえば赤ですよね。約1万3000年前(縄文時代)から、赤いアズキが増えたことも明らかになっています。つまり、縄文人は赤いアズキを好んで育て始めた──。こういうことを知ると、「縄文人は何で赤い豆を選んだんだろう?」と好奇心が搔き立てられませんか?





































































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