小学校入学で本離れ「アフターゾロリ問題」を幼児期から対策 「時間」「場所」「しくみ」で整える「読書習慣」

《第4回》環境を整えると子どもは本を読み出す/幼児期に「生きる強さ」を身につける7つのこと(全7回) (3/3) 1ページ目に戻る

文章力養成コーチ・教育コンサルタント:松嶋 有香

松嶋:「アフターゾロリ問題」の解決策の第一歩は、その作品シリーズの何が好きなのかを一緒に分解することです。謎解きが好きなのか、言葉遊びが好きなのか、主人公のキャラクターが好きなのか。好きの要素が分かると、次の本を探しやすくなります。

ここでもぜひ、図書館の司書さんに「うちの子は、このシリーズのこういう要素が好きなようです。次に読むのにおすすめの本はありますか?」と聞いてみましょう。きっとその子が興味を持ちそうな本を提案してくれるはずです。

「アフターゾロリ」に効くオススメの青い鳥文庫<傑作選>

◆ミステリー・ナゾ解きが好きにオススメ!

「探偵チームKZ事件ノート」シリーズ (原作:藤本ひとみ、文:住滝良、絵:駒形)

累計230万部超えの、小中学生に圧倒的な人気を誇る本格ミステリーシリーズ。中学1年生の立花彩と、頭脳も個性もトップクラスの男子6人が、「探偵チームKZ」としてチームを組み、身の回りで起こる事件に挑む!

2011年から続いている人気シリーズで、2026年4月現在、シリーズ作品は46冊。KZシリーズの真相をえぐるディープなKZ(通称「KZ'D」)や、高校生編の「KZ'U」など、スピンオフ作品もたくさん出版されていて、読み応えも満点です。

おすすめの1冊:『探偵チームKZ事件ノート 消えた自転車は知っている』
ポイント:友情や悩みといった等身大のストーリーの中に、本格的なナゾ解きが組み込まれています。

探偵チームKZ事件ノート 消えた自転車は知っている

探偵チームKZ事件ノート 消えた自転車は知っている

住滝 良(著)  藤本 ひとみ(原作)  駒形(絵)

発売日:2011/03/11

価格:定価:本体740円(税別)

◆ドキドキするアイドルストーリーが好きな子にオススメ!

「ひなたとひかり」シリーズ (作:高杉六花、絵:万冬しま)

「ひなたとひかりがかわいい♡」、「壱弥(いちや)の本性モードとお仕事モードのギャップに萌える~!」と、ファンの熱い支持を受けている大人気シリーズ。平凡女子中学生の日向(ひなた)が、双子の姉で人気アイドル「光莉(ひかり)」のピンチを救うため、光莉と入れ替わることに。日向はキラキラした世界に飛びこみ――、そこでやさしくほほ笑む王子様と出会う!

おすすめの1冊:『ひなたとひかり(1)』
キュン♡ポイント:やっぱり一番気になるのが、日向と壱弥の関係! 壱弥が、光莉(正体は日向)と二人きりになると豹変するシーンは、ひなたと一緒になってドキドキしちゃいます。

ひなたとひかり(1)

ひなたとひかり(1)

高杉 六花(作)  万冬 しま(絵)

発売日:2022/09/14

価格:定価:本体650円(税別)

◆怖いモノ・ホラー好きな子にオススメ!

「呪イアツメ」シリーズ(作:虎走かける 絵:日向あずり)

悪夢を見てから、足が動かなくなってしまった千舞(ちまい)。原因は、魂の力で動くようになった呪物――「魂絡繰(タマカラクリ)」だった!? 頼りになるのは、2つ上のおささなじみリュウくんと、狼の魂絡繰・十狼太。千舞は運命から逃れられるのか……。

おすすめの1冊: 『呪イアツメ(1) 死人のコレクション』
ゾクゾクポイント:千舞が呪いをかけられるシーンは、現実でも起こりそうなシチュエーションで思わずゾッとしてしまいます。リュウとの友情エピソードもあるので、怖い話が苦手な人でも楽しみながら読むことができます。

呪イアツメ(1) 死人のコレクション

呪イアツメ(1) 死人のコレクション

虎走 かける(作)  日向 あずり(絵)

発売日:2021/08/04

価格:定価:本体650円(税別)

◆ファンタジーが好きな子にオススメ!

「黒魔女さんが通る!!」シリーズ (著:石崎洋司、絵:藤田香、亜沙美)

ひょんなことから黒魔女修行をするハメになった黒鳥千代子こと、チョコ。魔界からやってきた性悪黒魔女のギュービッドや個性ゆたかすぎるクラスメイト、魔界からやってくるとんでもない魔界キャラにかこまれてチョコの毎日は大さわぎ! 笑いと感動がいっぱいのマジカルコメディー!

おすすめの1冊:『黒魔女さんが通る!! (1)チョコ、デビューするの巻』
ワクワクポイント: 魔法の呪文や魔界のアイテムなど、設定が細かくて本格的! おしゃれや恋の話もあって、一気に読めてしまいます。シリーズ作品は、関連書籍も合わせると50冊以上ありますので、「たくさん読みたい!」という欲求も満たされます。  

黒魔女さんが通る!! チョコ、デビューするの巻

黒魔女さんが通る!! チョコ、デビューするの巻

石崎 洋司(著)  藤田 香(絵)

発売日:2005/09/16

価格:定価:本体700円(税別)

◆本当にあったお話が好きな子にオススメ!

『ガリガリ君ができるまで』(作:岩貞 るみこ  絵:黒須 高嶺)  

発売以来、40年以上にわたり、子どもたちの「No.1アイス」として大人気のガリガリ君。この本は、ガリガリ君がどのように作られ、みんなのもとへ届くのかがよ~くわかる、楽しいドキュメント小説です。

「へぇ〜」ポイント:「事実は小説より奇なり」ということわざがあるように、「えー、そうだったの!?」と驚いたり感心したりすること間違いなし。まだ読んでいない友達に「知ってる? 実はガリガリ君って……」なんてヒミツを教えてあげられるかも!

ガリガリ君ができるまで

ガリガリ君ができるまで

岩貞 るみこ(作)  黒須 高嶺(絵)

発売日:2025/07/09

価格:定価:本体800円(税別)

絵本から児童書へ移行させるためには? 読書習慣にまつわる「Q&A」

国語教師・文章コンサルタントとして、多くの子どもたちを指導してきた松嶋さん。読書習慣にまつわる親御さんの不安・質問に答えます!  

Q:つい、ゲームやテレビに走りがち…。自然に本を手に取らせる工夫はありますか。

A:ゲームやテレビは手軽に快感が得られるものなので、そちらに流れるのは当たり前。まずは、家庭での「時間」「場所」「しくみ」を整えましょう。

本来、本を読んだり、アナログの遊びをしたりすることは、子どもが好きなはずです。小さい子の場合、テレビより楽しいことは外遊びです。体を動かす。自然のもので創作する。そして、疲れたら絵本だけ読んで親も一緒に寝てしまいましょう。

読書習慣づくりは、読書だけを切り出して頑張るものではありません。親子の生活を整えることとセットで進めてください。

Q:絵本から児童書へ移行するには、どうすればいいですか?

A:前提として、絵本は早く卒業する必要はありません。絵本には文字だけでなく絵という情報があり、そのおかげで子どもたちはさまざまな情景や登場人物の心情を理解することができます。その情景や感情の引き出しが、文字だけの本を読んだときに想像力の助けとなります。このため、絵本は小学校高学年くらいまで併用して読んでいいと思います。

もし、「児童書にうつってほしいけどうちの子は文字がまだ読めない」と心配になる場合には、絵本の読み聞かせのときに、文字を指でなぞりながら読んでみましょう。すると子どもは「親は、そこに書かれている『文字』を読んでいる」と知ることになります。

実際に、私の息子が3歳くらいの頃、絵本の読み聞かせの際に文字を指でなぞっていたら「ママ、もしかして、この文字を読んでいるの?」と聞かれ驚いたことがあります。子どもはそれまで、ママが絵を見て物語を創作していると思っていたようです。「文字から情報を得ている」と気づく経験が、文字や言葉に興味を持つきっかけになります。

もし「極端に文字を嫌がる」「音読が苦しそう」など、読みにくさが疑われる場合は、専門家の支援を受けることで、音読支援など別のルートで学びを進めることもできます。家庭でできることは、無理をさせることではなく、安心できる環境のなかで興味の芽を育てることです。

次回は、社会で生きる最強の武器としての「あいさつ」について、家庭でできることを具体的にお話しします。

全7回の4回目
1回目「家庭を安全基地にしよう」を読む
2回目「過干渉をやめて子どもの自立を促そう」を読む
3回目「外遊びで生きる力と免疫力を育てよう」を読む
5回目「環境を整えると子どもは本を読み出す」を読む※4月15日よりリンク有効
6回目「子どもが困らないための最低限の教育とは?」を読む※4月16日よりリンク有効
7回目「子どもの心を守る安全基地の作り方」を読む※4月17日よりリンク有効

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松嶋 有香
まつしま ゆか

松嶋 有香

Yuka Matushima
文章力養成コーチ、教育コンサルタント

静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」

静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」