これはやっちゃダメ!「パパ見知り」を悪化させてしまうNG行動とは

パパのことが嫌いなの?「パパ見知り」の真実#3

昭和女子大学人間社会学部教授:石井 正子

パパと子どもの関係性にはママのサポートも不可欠

石井先生はパパの子育てすることについてこのように語ります。

「現在は、育児に協力的なパパが増えて積極的に子どもにかかわろうとしている方はたくさんいます。

しかし、それでも時間の制約があって子どもと思ったように過ごせない方もいます。

また、コクリコ読者の父親世代は、今のように子育てに踏み込んだ世代とは言い難く、パパは育児へのイメージを持ちにくい状況にあります。

子どもと接する時間に限りがあるのと、自分の父親に育児をされていた経験が少ないので、お世話がぎこちないのは当然です」(石井先生)

パパと子どもの関係を深めるには、ママのテクニック伝授が不可欠です。  写真:アフロ
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今のパパたちは、ロールモデルがないため手探りで育児をしている方が多いと石井先生は話します。だからこそ、パパと子どもの関係にはママのサポートが不可欠といいます。

「個人差はありますが、一般的にママはご自身の母親というロールモデルがあるので、育児に対するイメージがパパよりは持ちやすいです。

一方、パパは十分にイメージを持っている方が少ないので、ママから子どもの接し方のコツなどを情報提供することが大切です。

『こうやって抱くと機嫌が良くなるのよ』『この音は怖いみたいね』など、我が子の快・不快を教えてあげられるといいですね」(石井先生)

些細なことでも、ママが我が子のお世話テクニックをパパに伝えてあげることが大切です。ママのサポートで、パパと子どもの関係がより一層、深まります。

子どもと2人だけで時間を過ごして愛着度をアップ

石井先生は長い目で見た場合、パパ見知りがいつかおさまって、パパじゃなきゃダメ! という時期がくることもあるといいます。その未来に向けて「今」やっておくといいこととは何でしょうか。

「個人的な話をすると、うちは私が休日出勤や出張があり、家を不在にすることが多くありました。その間は3人の子どもの面倒を夫が見ていたんですよ。

子どもたちはしばらくは母親がいないことにグズったようですが、やがて父親に愛着をシフトさせて楽しく遊んでいたそうです。

ですから子どもとは思い切って、ママ抜きで2人だけの時間を過ごしてほしいですね」(石井先生)

家で子どもと2人きりで過ごすのはハードルが高いという場合は、散歩に行ったり、実家に連れて行ったり、あるいは「子育て広場」など、地域の子育て支援をする場に行ってみるのもひとつの方法です。

「家で親子時間を持つ場合は、子どもと2人きりになるためにママにお出かけしてもらってもいいでしょう。ママとしてはプライベートな時間ができるので、育児の息抜きにもなります。

そうやって子どもとの時間を大切にしつつ、ママへの気遣いもできれば、子どもとの関係も夫婦関係も充実してきます」(石井先生)

パパ見知りは赤ちゃん時代のほんの一時期のことです。パパもツラく感じてしまうかもしれませんが、子どもは認知能力の発達と愛着形成という目覚ましい成長を遂げています。

親として喜ばしいことと考えると、パパ見知りの時期を前向きに捉えられるのではないでしょうか。

取材・文/梶原知恵

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いしい まさこ

石井 正子

昭和女子大学人間社会学部教授

昭和女子大学人間社会学部初等教育学科教授。博士(学術)。千葉大学教育学部卒、日本女子大学大学院修士課程、昭和女子大学大学院博士課程修了。専門分野は障害のある子どものインクルージョン、子どもの生活環境が発達に与える影響、乳児院における養育者のエンパワメント等。 【主な著書や監修書】 『子ども家庭支援の心理学』(アイ・ケイコーポレーション) 『新 乳幼児発達心理学―もっと子どもがわかる好きになる―』(福村出版)など

昭和女子大学人間社会学部初等教育学科教授。博士(学術)。千葉大学教育学部卒、日本女子大学大学院修士課程、昭和女子大学大学院博士課程修了。専門分野は障害のある子どものインクルージョン、子どもの生活環境が発達に与える影響、乳児院における養育者のエンパワメント等。 【主な著書や監修書】 『子ども家庭支援の心理学』(アイ・ケイコーポレーション) 『新 乳幼児発達心理学―もっと子どもがわかる好きになる―』(福村出版)など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。