男の子の子育て 突然ダッシュ、オタク気質、悪ふざけ…謎行動のワケ

男の子の子育てココが知りたい#2「どうして突然走り出すの?」

大阪教育大学教育学部教授:小崎 恭弘

ウチの子のココが大変②「好きなものはトコトン好き」

「男の子のママからよく聞くのは『ウチの子、電車や車がとにかく好き』など、いわゆるオタク気質についてです。

男の子と女の子では多少、興味関心の持ち方に傾向があります。僕は学生にこれを説明するときに体積で表現します。

男の子は深い容器を数個持っていて、女の子は浅めの容器をたくさん持っているイメージです。つまり、男の子は好きなものをトコトン好きになる傾向があるということです。

ママとしては他のことにも興味を持ってほしいと思うようですが、子ども本人はとても楽しんでいて満足しているので、まったく新しい物に差し替えてその世界を壊さないであげてほしいのです。

もし他にも目を向けてほしいのなら、好きなことから広げてあげてください」(小崎先生)

好きなことから拡張してみる

例えば電車が好きな子なら、電車の絵を描くことで絵に興味を広げてあげたり、実際に電車を見に行くことで、体を動かすことの気持ち良さを伝えてあげればいい、と小崎先生は話します。好きをベースにしてあげることが成長の素となっていきます。

もちろん男の子だから、女の子だから、と固定観念を押し付けるのはよくありません。

電車や車に興味を持つ女の子もいますし、子どものオタク気質には個人差と強弱があることを忘れないでほしい、と小崎先生は話します。

ウチの子のココが大変③「悪ふざけが止まらない」

静かにしてほしいところで騒いだり、悪ふざけが止まらなかったり、子どもに注意してもなかなか親の言うことを聞いてくれないと気疲れ度はマックスに。こんなときの対処法はあるのでしょうか。

「まず、なぜ子どもが困った行動に出るのか理由を探ったことがあるでしょうか。状況を振り返ってみると、急な場面転換があったのではないでしょうか。

男の子は、場面が変わることに敏感な子が多い傾向にあります。大人の都合で変化した状況をぐちゃぐちゃにして、自分の知っている世界に戻そうとして騒いだり、悪ふざけをやめなかったりしているので、叱らずに状況を振り返ってみてください」(小崎先生)

騒いだり、悪ふざけをしているときは、なぜこの子がこの行動をとる必要があったのかを考えてみることが大切です。  写真:アフロ

「見通し」を伝えてあげる

「困った行動の理由がわかれば、対策は可能です。場面転換がこれからある場合は、子どもに事前に『◯◯をするからね』と見通しを持たせてあげましょう。

一度言い聞かせただけでは理解できない年齢の子には、気持ちを切り替えられるように何度も伝えることが大切です」(小崎先生)

幼稚園や保育園では時間で活動する内容が変わっていきます。例えばお昼なら、先生や保育士は前もって「時計が赤いところまでいったら、お昼ご飯を食べる準備をしましょうね」「これを塗り終わったら片付け始めようか」など、子どもの気持ちが整理できる声かけをします。

大人の都合ではなく、子どもの気持ちを主体に考えると、子どもも気持ちを無理なく切り替えられ、困った行動を事前に回避できそうですね。

第3回は、年齢別の「男の子の困った」にアドバイスをもらいます。


取材・文/梶原知恵

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こざき やすひろ

小崎 恭弘

大阪教育大学教育学部教授

大阪教育大学教育学部教授。兵庫県西宮市初の男性保育士として保育所などに12年勤務した経験を持つ。3人の男の子の父親でもあり、それぞれで育児休暇を取得。それらの体験をもって「父親の育児支援」研究を始める。NPO法人ファザーリング・ジャパンの顧問。2022年4月より大阪教育大学附属天王寺小学校の校長を兼任。 【主な著書や監修書】 『あ~、また言っちゃったがなくなる 男の子ママの言葉かけ便利帳』(総合法令出版) 『男の子の 本当に響く 叱り方ほめ方』(すばる舎)など

大阪教育大学教育学部教授。兵庫県西宮市初の男性保育士として保育所などに12年勤務した経験を持つ。3人の男の子の父親でもあり、それぞれで育児休暇を取得。それらの体験をもって「父親の育児支援」研究を始める。NPO法人ファザーリング・ジャパンの顧問。2022年4月より大阪教育大学附属天王寺小学校の校長を兼任。 【主な著書や監修書】 『あ~、また言っちゃったがなくなる 男の子ママの言葉かけ便利帳』(総合法令出版) 『男の子の 本当に響く 叱り方ほめ方』(すばる舎)など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。