「子育ては面白いけれど、大変」という言葉は、子どもをお持ちの方なら誰もが抱くフレーズです。特に、男の子のお世話に手を焼いているママは、この気持ちが強い方が多いのではないでしょうか。
突然走り出したり、悪ふざけが止まらなかったり、「ウチの子が大変!」とお悩みのママのために、3人の男の子の父親でもあり、男児の子育てに関する著書がある大阪教育大学教育学部教授の小崎恭弘先生に、子育てのコツを伺いました。
「男の子の子育てココが知りたい」2回目は、男の子の傾向について解説します。
「男の子の子育て」とひと口に言っても、子どもの個性はさまざま。男の子で当てはまらない子どももいれば、女の子で当てはまる子どももいることでしょう。ぜひ男の子のパパママも、女の子のパパママも我が子を想像しながら、読んでみてください。
(全4回の2回目。#1を読む)
ウチの子のココが大変①「突然、ダッシュ!」
公園の砂場で夢中で遊んでいたかと思ったら、目の前にネコが横切った瞬間、そちらに心を奪われて追いかけたり、親と手をつないでいても突然、その手を振り切って逆方向に走り出したり……。男の子の予想外の行動に戸惑うママは多くいます。
「突然、走り出せるのは瞬発力が優れているので、それだけ身体能力が高いということなんですよ。
また、大人には突然のダッシュに見えますが、子ども本人にはロジックがあるんです。その理論というのが『世界は自分中心に回っている』ということです。
目に入ったネコを追いかけ始めた場合、子どもにはもう自分とネコしかこの世界にはいません。だから、例えば子どもの目の前に鉄棒があっても、真正面からぶつかったりするんです」(小崎先生)
鉄棒が目に入っているはずなのにぶつかると、ママとしては「どこを見ていたの?」となりますが、男の子の多くが、鉄棒が見えなくなる、あるいは鉄棒をなかったことにできます。これは自分と自分の興味対象だけの世界に生きている表れだと小崎先生は話します。
「目の前のことすら見えなくなる」だからこそ……
「ウチの次男の話をすると、小学校4年生のときに鬼ごっこをやっていて、鬼に追いかけられたからと、信じられないことに7メートルの高さから飛び降りたのです。骨折はしたものの、命に別条はありませんでした。
あとから彼に『なんであんなことやったん?』と聞いたところ、『飛べると思ってんけどなぁ』との返答でした」(小崎先生)
小崎先生の息子さんは鬼と自分の世界では自分は万能で、飛べるというイメージを持っていたというのです! これは『世界は自分中心に回っている』というひとつの例です。
「ウチは骨折をしてしまいましたが、場合によってはもっと大きな怪我や事故につながる可能性もあります。
お子さんがもう少し小さいなら、親が怪我やトラブルに合わないように危機管理をしておくことが大切です。例えば、公園の出入り口には必ず親がいて、子どもが出て行かないように注意しておくなどです」(小崎先生)
これは保育士も行っていることですが、歩道では、道路側を必ず親が歩くというのも親側が行うべき危機管理だと小崎先生は話します。子どもの興味を親は知っているので、我が子がどんなことに心を動かすのか想定し、親側が見通しを持っておくことが大切です。