子どもの「やりたくない」に親が絶対に言ってはいけない「ある言葉」

筑波大学人間系教授の外山美樹氏インタビュー (2/3) 1ページ目に戻る

児童図書編集チーム

がんばりたくてもがんばれない

最初は意欲的だった子どもが、途中から「もうやりたくない」「今日は無理」と言い始める。親からは、怠けや、根気がないように見えるかもしれない。

しかし、外山氏が「がんばれなくなる」背景にあるものとして特に指摘するものが2つある。

一つは、心身のエネルギーが消耗していることだ。

「子どもは、勉強や部活動だけでエネルギーを使っているわけではありません。人に気を遣う、感情を抑える、失敗しないように緊張する。そうしたことが重なれば、いわば『心のバッテリー』が減ったような状態になります」

学校や塾では周囲に合わせ、叱られないように振る舞い、友達との関係にも神経を使う。外でがんばっている子ほど、家に帰った時点では、すでに心のバッテリーがほとんど残っていないかもしれない。

その状態で「もっとがんばりなさい」と言われても、本人にはがんばるための力が残っていない。

もう一つは、努力の意味が変わってしまったことだ。

「『おもしろいからやりたい』『できるようになりたい』あるいは『自分にとって大切だから取り組みたい』というように、本人が意味を感じ、納得している努力は続きやすいものです。ただ、それが『怒られるからやらなければならない』『期待を裏切れない』という義務や恐怖だけに支えられるようになると、続けることが難しくなってしまうのです」

では、子どもが「もうやめたい」「できない」と言ったとき、親はどのように声をかければよいのだろうか。

「もったいない」が実は危うい

「もしかすると『心のバッテリー』が消耗していて、がんばれないのかもしれない」と指摘する筑波大学人間系教授の外山美樹氏
すべての画像を見る(全4枚)

なにより避けたいのは、結果だけを見て「できていないじゃない」「もっとがんばれるでしょ」と責めることだ。

「結果ではなく、今の子どもの状態や考え方に関心を向けることが大切です。まずは『そこまでつらかったんだね』『よく話してくれたね』と受け止めたうえで、『今、どこが苦しいの?』『どういうやり方なら、もう少し楽になれそう?』と尋ねてみてください。子どもの特性もありますから、親が子どもの状態を決めつけるのではなく、よくよく観察して、子どもの心に寄り添うことが大切です」(外山氏)

さらに「今まで続けてきたのに、ここでやめるなんてもったいない」という言葉にも注意が必要だ。これまで使ったお金や時間を考えると、そういう言葉もつい出てしまう。しかし本当に考えるべきなのは、過去にどれだけ時間を使ったかではなく、これからの時間をどう使いたいかだろう。

「あきらめる」ことで可能性が広がることも
19 件