「テストできたらゲームを買ってあげる」は逆効果! ごほうびで子どもが「やる気をなくす」ワケが判明

中野信子「新版 空気を読む脳」#2 心理実験で子育てを応援

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「なぜ、相手や周りの気持ちがわかりすぎる人ほど生きづらいの?」──。

職場で学校で「空気」という暗黙のルールの中で生きる私たち。『新版 空気を読む脳』は、中野信子さんが日本人の心性と強みを、脳科学・遺伝学・行動科学で初めてひもとき、多くの共感を呼んだ大ベストセラーの新版です。

そのなかから子どもの成長に役立つ「なぜ、報酬がいいとやる気や創造力が減退してしまうのか」をご紹介。何か難しい課題をこなすとき、「これができたらゲームを買ってあげる」「できたら、おいしいものを食べに行こう」など、言っていないでしょうか? その提案、子どものやる気を削いでいるかもしれません。

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『新版 空気を読む脳』(講談社+α新書) 著:中野信子

素晴らしいごほうびのある実験

子どもにやる気を出させたいとき、部下に自発的に頑張ってほしいとき、自身を鼓舞したいとき等々、自分も含めて誰かのモチベーションを上げたい、という場面には頻繁に遭遇します。

多くの人はそんなとき、目に見える報酬を用意して、モチベーションアップにつなげようとするのではないでしょうか?

たとえば、子どもには「成績が上がれば欲しいものを買ってあげよう」と伝えてみたり、部下には昇給や昇進を約束したり、自分自身にも「自分へのごほうび」を期して何ごとかを頑張ろうとしたりする、などです。

しかし、この方法は本当に良い方法と言えるのでしょうか?

この問題について、実験的に分析した人たちがいます。スタンフォード大学の心理学者レッパーの研究グループです。

実験は、子どもたちに絵を好きになってもらうにはどうしたらよいか、というテーマのもとに立案されました。子どもたちをふたつのグループに分け、片方のグループには「よく描けた絵には素晴らしい金メダルが与えられる」ということを前もって知らせておきます。もう一方のグループには、メダルが与えられるという話は一切しないでおきます。

この操作のしばらくあとに、子どもたちのグループそれぞれに、実際にクレヨンと紙が渡されます。そして、子どもたちがどれだけ絵に取り組んでいたか、取り組んだ時間の総計と課題に傾ける熱心さを観察します。

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すると、メダルを与えると伝えた子どもたちのグループは、メダルのことを何も知らなかった子どもたちよりも、ずっと課題に取り組む時間が少なかったのです。あたかも報酬を与えることそのものが、子どもたちを絵から遠ざけることになってしまったかのような結果でした。

絵を好きになってもらうために、良かれと思ってごほうびを約束したことが、かえって逆効果になってしまったのです。グループを変えて何度実験してもこの結果は変わらず、データには再現性がありました。

なぜ、このような現象が生じてしまったのでしょうか? この実験を行った学者たちは次のように述べています。

子どもは、「大人が子どもに『ごほうび』の話をするときは、必ず『嫌なこと』をさせるときだ」というスキーマ(構造)をそれまでの経験の中から学習してきており、報酬を与えられた子どもは「大人が『ごほうび』の話をしてきたということは『絵を描くこと』=『嫌なこと』なんだ」と、報酬そのものの存在がタスクを嫌なこととして認知させてしまう要因になると指摘したのです。

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