𠮟り方を変えても子どもが変わらないのはなぜ?
すぐに子どもの行動が改善されない場合、2つの原因が考えられると野村先生は話します。
「子ども自身が納得していない提案をしているか、子どもの年齢や発達よりも難しいことを求めている可能性があります。
たとえば、お漏らしが治らない子に『早めにトイレに行こう』と提案しても、子どもは『別に平気』と思っているかもしれません。そんなときは、『外で漏れたら嫌だよね、遊ぶ時間が減っちゃうね』などと、子どもが納得できる理由を具体的に伝えることが大切です。
それでも改善が難しい場合は、親の基準を少し下げてみることも必要です。『トイレは済ませていないけど、お着替えはできているからいいよね』など、スモールステップの考え方を取り入れてみてください」(野村先生)
「いいところ探し」で子どもの自己肯定感を高める
できていることに目を向けることは、日常の中でも積極的に行っていくことが大事だと、野村先生は続けます。
「子どもは毎日少しずつ成長しています。昨日できなかったことが、今日は少しできるようになっています。その小さな変化をきちんと伝えることが大切です。
また、『食器持ってきてくれてありがとう』などと、してくれたことに感謝を伝えることも大事です。プラスの面に目を向け、それを伝えることで、子どもの自己肯定感も上がります」(野村先生)
感情を爆発させてしまった! そのあとは子どもとどう向き合う?
怒りすぎてしまうことは誰にでもあるはずです。そうしたときは子どもに対しても、「さっきは怒りすぎちゃってごめんね」と、素直に謝ることが大事だと野村先生は話します。
「大人が謝る姿を見せることで、子どもも素直に謝ることができる人になります。
また、子どもが『いいよ』と許してくれたら、『ありがとう』と、きちんと感謝を伝えましょう。『ごめんね』『ありがとう』を素直に言えるような関係を築けると、それが家族外の人とのコミュニケーションにもいい影響をもたらすはずです」(野村先生)
子育ては長期戦 できる範囲で試していこう
「頑張っている親御さんに伝えたいのは、怒ってしまう自分を否定しなくていいということです。それは子どもを大事に思い、一生懸命向き合っている証拠だからです。
私自身、子どもには怒ってばかりでしたが、アンガーマネジメントに出合い、少しずつ子どもをうまく𠮟れるようになりました。
その結果、私の顔色をうかがって自分自身を抑えてばかりだった長男は明るくなりましたし、次男はかんしゃくが収まりました。今では二人とものびのびと成長しています。
子育ては長期戦です。最初から全力で走らず、できる範囲で少しずつ、コツコツ積み重ねることが、親子が一緒に成長する大事な時間になるはずです」(野村先生)
子育て中のイライラや怒りは、子どものことを思うからこそ起こるものです。子育てでイライラしたときに大切なのは、怒りの感情をコントロールして、“伝える姿勢”を忘れないこと。今回紹介した子どもへの伝え方を少しずつ実践していくことで、子育てが楽になっていくはずです。
取材・文/阿部雅美
参考書籍:
『とっさの怒りに負けない!子育て』野村恵里(著)/すばる舎
『イライラを爆発させない!パパ・ママが楽になる子どもの𠮟り方:子育てにいかすアンガーマネジメント』野村恵里(著)/中央法規出版
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◆野村 恵里(のむら えり)
日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントコンサルタント®。保育講座専門会社「感情保育学研修所」代表。
20年間、岡山市の公立保育園で保育士として勤務。子どもの心に寄り添う保育を実践してきた経験をもとに、2014年4月「カラフルコミュニケーションズ」を設立し、講師活動をスタート。2025年に「感情保育学研修所」を立ち上げ、「ココロ力を育む気持ちコミュニケーションで保育改革」を理念に掲げ、保育・教育・子育ての現場で役立つ“感情保育学”を全国各地で伝えている。
カラフルコミュニケーションズ:https://cxcs.jp/index.html
【子育てのイライラに役立つ「アンガーマネジメント」】の連載は、全2回。
第1回、前回を読む。
【関連書籍】







































阿部 雅美
タイ・バンコクの日本人向け情報誌・WEBメディア、東京の編集プロダクションを経て、フリーランスの編集・ライターに。そのなかで保育雑誌や書籍、企業誌、食メディアなど様々な媒体を経験。 現在は、育児・教育や占い、グルメなどさまざまなジャンルの記事を編集・執筆している。
タイ・バンコクの日本人向け情報誌・WEBメディア、東京の編集プロダクションを経て、フリーランスの編集・ライターに。そのなかで保育雑誌や書籍、企業誌、食メディアなど様々な媒体を経験。 現在は、育児・教育や占い、グルメなどさまざまなジャンルの記事を編集・執筆している。