【女の子の脳は両親に似る】脳が似ていると行動・思考・性格も似るのか 親子の脳の新事実

脳科学から迫る親子の脳の「かたち」 #2 (2/3) 1ページ目に戻る

東北大学学際科学フロンティア研究所助教、スマート・エイジング学際重点研究センター助教:松平 泉

父親×息子、父親×娘、母親×息子、母親×娘 どんな関係だと脳は似る!?

4種類の指標を使って分析した結果、誰に似るのか、脳の領域を色分けで示した図。  画像提供:東北大学 松平泉
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親子の脳の類似性に関する研究で注目した、4種類の「かたち」の特徴

① 脳のシワを示す「脳回指数」
② 大脳皮質の広がりを表す「表面積」
③ 大脳皮質のぶ厚さを表す「皮質厚」
④ 脳の奥あたりに位置し、海馬などを含む「皮質下構造」の体積

4つとも脳の働きに関わる重要な特徴を持っている。ただし、これらの特徴の値が「大きい」=「頭がいい」というわけではなく、大きさが持つ意味は個人によって異なる。

──父親×息子、父親×娘、母親×息子、母親×娘という4パターンそれぞれの脳を分析した結果、どのような男女差があったのでしょうか。

松平泉先生(以下、松平先生):親子の性別の組み合わせで脳の似ている・似ていない場所も、数も異なることがわかりました。

たとえば、図を見ていただくと、息子の脳における「父親にのみ似る領域(青地)」は、①脳回指数と③皮質厚(大脳皮質の厚み)、④皮質下構造の体積に青地になっている部分があり、かつ息子の青地は娘よりもやや多いことが読み取れます。

ただ、男女を比較してみると、娘のほうが4種類それぞれに色づけされている部分があり、「両親に似る領域(紫色)」も多いんです。これにより娘のほうが両親と似ている部分が多いということがわかります。

なぜ女の子のほうが両親と似ている部分が多いの?

──娘のほうが両親と似ている部分が多いのはなぜでしょうか。

松平先生:図は脳の右側だけを映し出していますが、実は左側も娘のほうが息子よりも同じように色づけが多いんです。

男女差ができる理由として、X染色体やY染色体といった遺伝的な要因の影響が考えられますが、そればかりではなく、親が子どもに物事を伝える際の言葉の選び方や態度など、出来事の共有のしかたが息子と娘で違うことや、それに対する子ども本人の受け取り方の違いなども、性差に関わっているのではないかと考えています。

──「共有のしかたが息子と娘で違う」と差が生まれるということは、きょうだいであれば、男女×きょうだいの中で何番目であるのかも似ている・似ていないの違いになるのでしょうか。

松平先生:そうですね。今回の研究の範囲ではないので可能性の域を出ませんが、脳の発達に影響することがあれば、差が出ることは考えられます。

脳が似ると行動や思考、性格も似る?

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