寝ない 食べない 癇癪(かんしゃく)が多い… 「子どもが育てにくい」納得の理由とは? 専門家が「感受性」と「注意力」を使って分析

感受性と注意力で読み解く子どもの「困った」行動#1 感受性が敏感な子

感受性には「外」と「内」がある

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「感受性」の中身は、大きく2つに分類されます。一つは見る、聞く、触るなど身体の外の刺激を受け取るもの、もう一つは味覚や空腹感、排泄など身体の内側から起こる刺激を感じるものです。楽しい、好きなどの感覚も「内側」に含まれます。

身体の中に、感受性を受け取る「アンテナ」が10本あるとイメージしてみてください。このアンテナで身体の外と内、両方の感覚をキャッチすることができますが、何本のアンテナが外をとらえるか、内をとらえるかは人により異なります。

大切なのは、「外と内の感受性を受け取るバランス」だと野藤氏は話します。

「それぞれ同じ本数で感受していれば、人は穏やかな時間を過ごすことができます。ですが、光や音など外からの刺激ばかりを受け取ってしまう状態だと、その分、身体の内側の感覚は自覚しにくくなります。

極端な例ですが、外の感受性で8本を占めてしまうと、残りの2本でしか内を感じられません。つまり、自分の身体の中で起こっている信号をほとんど受け取れないのです。そうなると、眠い、お腹が空いたなどの生理的感覚が、十分に認識できない状態になってしまいます」(野藤氏)

外からどんな刺激を受け取りやすいのかは、その子によって異なります。外の刺激には、視覚、聴覚、嗅覚、触覚などの種類があげられますが、どれかひとつの刺激への感受性が強いこともあれば、視覚と聴覚など複数が強いこともあります

そして、外への感受性が強い子は、自分の周りが気になって落ち着かず、なかなか寝ない、食べるのが遅い(食事中に席を立つ)、トイレトレーニングが進みにくいといった、保護者から見た「困りごと」が起こりやすくなります。外部からの刺激に左右されてしまうあまり、楽しいや悲しいなどの感情面が認識しにくい場合もあります。

「こうした子どもは、大人から見ると『言うとおりにしない』ので、育てにくいように映ります。しかし、冒頭で説明したように、感受性は生まれ持ったものなので、子どもが自分の意思でコントロールすることはできません。子ども自身が、自分の感受性にとまどっているのだと考えてください」と野藤氏は補足します。

子ども自身、理由がわからず困っている状態だということを、保護者はよく理解しましょう。

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