「ハンバーグは玉ねぎなしでOK!」“見るだけ料理教室“主宰者が教える「料理のしんどさを軽減」する方法
シリーズ「賢人に学ぶ『家族のごはんがしんどい』から解放されるヒント」#2‐2 「お気軽料理サロン」主宰・本多理恵子さん~マインド編~
2023.08.11
「お気軽料理サロン」主宰:本多 理恵子
鎌倉で見学型料理教室「お気軽料理サロン」を主宰し、1万3000人以上に料理を教えてきた本多理恵子さん。
料理を仕事としながらも、毎日のごはん作りに悩むママパパと同じように「料理がしんどい」と感じています。そんな本多さんの料理教室には、毎日のごはん作りにしんどさを抱える人たちが多く訪れます。
今回は料理への「やる気の引き出し方」についてお話しいただきます。
※2回目/全3回(#1を読む)
本多理恵子PROFILE
ほんだりえこ。「お気軽料理サロン」主宰。2007年鎌倉で「Café Rietta」を開業。書籍『料理が苦痛だ』(自由国民社)で第6回料理レシピ本大賞 in Japan 料理部門【エッセイ賞】を受賞。書籍やTV出演などメディアを通じて料理をメンタル面からサポートする活動をしている。
お手軽レシピがアプローチするのは「やる気」
料理の負担を軽減するアプローチはさまざまあるものの、肝心なのは、料理に対するマインドだと本多さんは言います。
「自著を何冊か出版する中で、時短レシピや電子レンジ、ポリ袋を活用したレシピなど手軽にできる方法をいくつも考えました。
さまざまなアプローチを試した私がいえるのは、『料理はやる気があればできる』ということです。
時短やお手軽レシピなどは、『やる気を出すこと』に対するアプローチだと思っています。それぞれ方法は異なりますが、『自分が少しでもご機嫌でいられ、おもしろがれること』。それを料理に反映することが大切ではないかと考えています」(本多さん)
「家族が喜んで食べてくれる」「おいしいものを食べたい」など、料理のモチベーションの上げ方は、人それぞれです。本多さんの場合、与えられたお題をクリアすることにやりがいを感じると言います。
「お題とは、テレビで見たおいしそうなレシピを自分なりに再現したり、珍しい野菜を買って『これをどう調理しようか』と考えて人に伝えたりすることです。
たとえば、数年前に料理教室の生徒さんから『どうやって食べたらいいですか?』とコリンキー(生食できるカボチャの一種)を渡されたことがありました。少し時間をもらって考えて、湯通ししたコリンキーと炒めたひき肉、紫玉ねぎなどを入れた青パパイヤ風のサラダを作りました。
お題をクリアするのはプレッシャーもありますが、宿題のような感覚で楽しいんです」(本多さん)
また、アイテムからやる気を引き出す方法もあります。
「カフェの近くに、作家さんの作品を扱ういい食器屋さんがあります。生徒さんたちに教えると帰りに寄っていってくれるのですが、新しい食器を手に入れると、みなさん使いたくなるものなんですよね。
料理教室で伝えたレシピをその器で再現してくれて『料理を斜めに盛り付けてみました!』と写真付きで報告してくれたり、作ってインスタに載せてくれたりする方もいます。盛り付けに力を入れるから、家族の反応も違うみたいですよ」(本多さん)
毎日ルーティーンのように同じ器に盛り付けるより、自分がひかれる器を購入して、それに合う料理や盛り付けを楽しむ。手持ちのカードをいくつか持っておくと、そのときどきに合わせて気持ちを切り替えられそうです。
やる気のある自分に協力してもらう
夕方になると疲れてしまい、ごはんを作る気力がなくなる人は、「やる気」のある時間帯に仕込んでおくのも一つの方法です。
「私はやる気のある午前中に、その日の晩に食べる夕食の仕込みをすることが多いです。
例えば、我が家の定番料理の一つ『ホイル焼き』の場合、あらかじめ魚と野菜、調味料をアルミホイルで包んで冷蔵庫に入れておきます。すると、夕飯時に冷蔵庫からホイルごと取り出して、そのままフライパンで焼くだけで食べられます。
気力も体力もない夕方に1から作らなくていいので、心に余裕が生まれ、ホイル焼きを加熱している間にスープを作ることも。すると、『あれ? 私、料理をやる気になっている』とうれしくなるんです。午前中の自分に感謝ですね」(本多さん)
確かに「冷蔵庫に仕込んでおいたおかずがある」と思うと気がラクになり、もうひと踏ん張りできるきっかけにもなりそうです。
「ホイル焼きは、アレンジの幅が広くておすすめです。魚を鶏肉や豚の薄切り肉に変えてもいいし、調味料も味噌やバター、カレー粉を使ってもおいしいですよ」(本多さん)
手間を省き楽しさを上乗せする「ものは考えようレシピ」
本多さんは2007年から鎌倉でカフェ営業をスタート。飲食を仕事にしたことで料理のスタンスにも変化が現れました。それが、家族のごはん作りにも活用できる「効率化」です。
「どうやら私は『ここは省ける』『こうしたらもっと早くできる』というポイントを発見するのが好きみたいです。少し得意なのだと思います」(本多さん)