マイクロスコープで「発見」
その後、活動はマイクロスコープを使った観察に移りました。
画面に映し出された拡大画像は、肉眼で見ていたのとはまったく異なる世界。どんぐりを見て「マンゴーみたいでおいしそう!」と叫んだり、塩の結晶を「かき氷みたい」「お花みたい」と喜ぶ声があがったりして、盛り上がりながら観察が進みます。
別のグループでは、真剣な顔つきで同じものをしばらく観察し続ける子がいました。少しするとハッとした表情を浮かべ、「海みたい!」と溢れんばかりの笑顔を見せます。
これとは対照的に、気になったものを次々と持ってきて、マイクロスコープに映しては変え……を繰り返していく子も。その間、終始感想や疑問を言葉にし、自分の考えを確かめるように手を動かしていました。
目の前の「自然」と真剣に向き合っていることが、子どもたちの表情や言葉からひしひしと伝わってきます。それは、この日の最後に高橋先生が投げかけた問い、「自然ってなんだと思った?」の答えにもよく表れていました。
「穴があいているのが自然だよ」「自然はツルツルしている」
突拍子のない言葉に思えますが、「(観察した)葉っぱには穴があいていたから、自然には穴があいている」「貝がらがツルツルしていた」などその子なりの理由があり、思考を巡らせた結果であることがわかります。
探究活動が子どもに与える「影響」とは?
探究活動は「成果」や「効果」を得るために行うものではありませんが、高橋先生は「活動を継続する中で子どもたちにプラスの影響がある」と感じています。
「渋谷保育園の子どもたちは、自分の気持ちや考えをとても自然に表現できるんです。自由に発言できる環境で、じっくりと話を聞いてもらえる探究活動の経験が大きいのだと思います」(高橋先生)
取材した日も、自分の考えや感じたことを話す子どもたちのイキイキとした姿が印象的でした。加えて、他の子の話や言葉を否定することはほとんどなく、お互いに認め合う温かい雰囲気がありました。
途中入園してきた子に「感じたことをそのまま話していいんだよ」と伝えても、不安そうな表情で黙ってしまうことが多く、こうした違いを目の当たりにすると、高橋先生は探究活動の意義を改めて実感するといいます。
「今の3歳児クラスの子たちは、0歳児から毎年探究活動を経験してきた学年です。これまでの経験上、子どもたちは年齢が上がるほど、大人が求める『正解』をいわなくちゃ……という気持ちが強くなると感じていますから、今後も変わらず自分の気持ちを躊躇せずに話してくれるといいな、と思っています。これからどんなふうに成長していくのか、今からとても楽しみです」(高橋先生)
子どもたちが対象に向き合いじっくり考え、気持ちを伝え合う。そうした経験を繰り返し楽しむことが、「自分の頭で考える」「自分も相手も尊重する」といった非認知能力の育ちにつながっていきます。
後編では、探究活動後の「振り返り」の様子、4歳児の探究、家庭への広がりなどから、自ら考える力を奪わない子どもとの関わり方についてお届けします。
取材・文 川崎ちづる
【乳幼児からの探究 渋谷保育園の挑戦 前編】の連載は、全2回。
後編を読む/4月1日からリンク有効。
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川崎 ちづる
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。