【子どもの発熱】ホームケアの新常識 「体を温め汗をかかせればよい」が危険な理由 「発熱時の正しい対処法」〔医師が解説〕

令和の「子どもホームケア」#3~発熱したときの対処法~

小児科専門医:森戸 やすみ

体が熱くてつらそうなときは、保冷剤や氷枕などを首の後ろや脇の下に当てて冷やすと効果的です。嫌がる場合、お子さんが気持ちいいというところを冷やすといいでしょう。

市販品では、おでこに貼る冷却シートが人気ですね。おでこを冷やしても体温を下げる効果はありませんが、頭が痛いときは気持ちがいいと思います。

ただし、小さいお子さんへの使用は要注意。お子さんがおでこに貼ったシートを触って、鼻や口をふさいでしまった事故があるからです。親御さんが見ていられるときなら問題ありませんが、目を離す際には必ずはがすなど、そうした危険性があることは知っておいていただきたいです。濡れタオルも同じです。

食事は、食欲があるのなら普段どおりで。食べられるものなら、好きなものを何でも構いません。母乳やミルクもいつもと同じようにあげましょう。

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高熱でも元気があれば大丈夫

熱が高くて眠れないとき、熱のせいで関節や筋肉などが痛むときは、解熱剤を使うのもいいでしょう。解熱剤は小児科で処方してもらえますし、市販薬でも用法・容量を守れば問題ありません。解熱剤は飲み薬のほか、坐薬もあります。

使用の目安は、熱が38.5度以上でぐったりしているとき。熱が高くても元気があれば、解熱剤を使わなくても大丈夫。受診の必要もないでしょう。

子どもは、もともと平熱が高いもの。また、小さなヤカンと大きなヤカンでは、小さなヤカンのほうが温まりやすいように、体の小さな子どもは大人に比べてすぐに熱が上がります。元気なら熱を無理に下げる必要はないですし、「うつ熱」と違って体温調節中枢が自分で熱を上げているので、体に危険がおよぶほど熱が上がることはないのです。

「高熱が続くと、脳に悪影響が出るのではないか」と心配する声もありますが、例えば、発熱とともに中枢神経に炎症を及ぼす髄膜炎や脳炎は、熱そのものではなく、ウイルスや細菌が原因です。風邪などが原因の熱が、直接脳に悪さをすることはありません。

受診が必要かどうかの見極めは、高熱に加えてほかの症状が出ているかどうか。激しい頭痛、ふらつき、嘔吐、咳が止まらないなど、いつもと違うつらい症状がある場合は注意が必要です。食べられないとき、水分が十分に取れないときも、早めに小児科を受診しましょう。

【子どものホームケアの新常識 その3】
熱が出た。寒気があるなら体を温め、寒気がなければいつもどおり。暑がりはじめたら体を冷やす。



取材・文/星野早百合

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もりと やすみ

森戸 やすみ

Yasumi Morito
小児科専門医

小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。

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小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。