25万人のダブルケア(育児&介護)を救う? 改正「介護休業法」を使いこなす条件

改正育児・介護休業法4月開始! 子育て世代が知っておくべき基礎知識#3〜介護休業法の基本のキ編〜

一般社団法人介護離職防止対策促進機構代表理事:和氣 美枝

正社員ではない有期雇用者も介護休業をとれる

介護休業制度は、育児休業制度と同様、雇用期間の定めがあるかどうかで、取得要件が変わります。

今回の育児・介護休業法の改正によって、「有期雇用従業員の介護休業取得要件」が緩和され、「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件が撤廃されました。

新制度において、介護休業を取得できるのは、以下の①、②になります。

① 期間の定めがなく、雇用されている者

② 期間を定めて雇用されている者のうち、申し出時点において、取得予定日から起算して93日を経過する日から6カ月を経過するまでの間に、労働契約の期間が満了することが明らかではない者

なお、日々雇い入れられる者(いわゆる日雇い労働者)は、介護休業の対象外となります。さらに、対象者に制限をかける場合には、労使協定を締結(ていけつ)することが義務付けられています。

「介護休業制度は短期間の休みをとれる『介護休暇』や長期に渡って休むための『介護休業』、所定外労働の制限(残業免除)など利用する制度によって、利用できる労働者や通算日数などの条件が異なります。

例えば、介護休暇でいうと、期間の定めなく雇用されている人は半日単位で取得できますが、1日の所定労働時間が4時間以下の場合は半日単位での取得はできないといった具合です。

しかし、有期契約労働者だからといって、各制度が利用できないという決めつけは禁物。あくまでも『雇用形態および労使協定によって異なる』と理解し、自分の場合はどうなのか、しっかり確認しましょう」(和氣さん)

利用する制度によっても、働き方によっても細かくルールが決められているからこそ、下調べが欠かせません。介護は突然やってきます。いざというとあわてずにすむよう、さっそくリサーチを始めましょう。

※和氣美枝さんの「介護離職防止対策シンポジウム」が2022年5月24日(火)13:30~開催予定。
詳細は 介護離職防止対策シンポジウム で検索

介護離職防止対策シンポジウム

取材・文/島影真奈美

※「改正育児・介護休業開始! 子育て世代が知っておくべき基礎知識」は全4回。第4回は4月28日公開予定です(公開日までリンク無効)。
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わき みえ

和氣 美枝

介護離職防止対策促進機構(KABS)代表理事

1971年埼玉県生まれ。一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)代表理事、株式会社ワーク&ケアバランス研究所代表取締役。レビー小体型認知症のある母親(80代)と暮らす、現役の働く介護者でもある。「介護と言えば地域包括支援センター」を合言葉にした、わかりやすい企業セミナー、介護者に寄り添う介護相談で定評がある。一方、「介護離職防止対策アドバイザー」の養成、関係省庁や経済団体と議論を重ねるなど、「介護をしながら働くことが当たり前の社会」を作るための活動を最前線で取り組む。 Twitter:@Waki_KR0 ケアラーズコンシェル  ワーク&ケアバランス研究所  一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS) 

1971年埼玉県生まれ。一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)代表理事、株式会社ワーク&ケアバランス研究所代表取締役。レビー小体型認知症のある母親(80代)と暮らす、現役の働く介護者でもある。「介護と言えば地域包括支援センター」を合言葉にした、わかりやすい企業セミナー、介護者に寄り添う介護相談で定評がある。一方、「介護離職防止対策アドバイザー」の養成、関係省庁や経済団体と議論を重ねるなど、「介護をしながら働くことが当たり前の社会」を作るための活動を最前線で取り組む。 Twitter:@Waki_KR0 ケアラーズコンシェル  ワーク&ケアバランス研究所  一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS) 

しまかげ まなみ

島影 真奈美

介護ジャーナリスト

介護ジャーナリスト。一般社団法人マリーゴールド理事、NPO法人タダカヨ理事。編集・ライター業の傍ら大学院に進学し、「老年学」を学び始めた矢先に、夫の両親の認知症が立て続けに発覚。現在も仕事×研究×介護の三つ巴生活を送る。介護分野の取材・執筆、プレ介護者・介護者向けのセミナー・講演を精力的に行う。 著書に『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)、『親の介護がツラくなる前に知っておきたいこと』(WAVE出版)など。 Twitter @babakikaku_s

介護ジャーナリスト。一般社団法人マリーゴールド理事、NPO法人タダカヨ理事。編集・ライター業の傍ら大学院に進学し、「老年学」を学び始めた矢先に、夫の両親の認知症が立て続けに発覚。現在も仕事×研究×介護の三つ巴生活を送る。介護分野の取材・執筆、プレ介護者・介護者向けのセミナー・講演を精力的に行う。 著書に『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)、『親の介護がツラくなる前に知っておきたいこと』(WAVE出版)など。 Twitter @babakikaku_s