ゲーム・動画との上手な付き合い方 子どもの成長を妨げないためにできること
臨床心理士・帆足暁子さん「デジタル時代の子育て」#3 ゲーム・動画視聴のルールを作ろう
2021.07.28
臨床心理士:帆足 暁子
家庭でのルールをきちんと決めよう
先ほどもお話したように、ゲームや動画視聴はデメリットが大きいものの、メリットもきちんとあります。親の役割はできるだけデメリットを小さくすることです。デメリットを小さくするためには、家庭でのルールが必要不可欠。ルールは次の2点を必ず押さえましょう。
①親が機器を管理する
ゲームや動画視聴ができる機器はすべて親の管理とし、「親のものを子どもに貸し出す」という形式にします。夜は必ず親が保管してください。夜のゲームや動画視聴は睡眠不足を招きます。誕生日やクリスマスでゲーム機をプレゼントにする場合も、必ず「管理は親」であることを事前に約束しましょう。
②1日あたりの時間を決める
脳科学の研究では、デジタルのゲームや動画は脳への刺激が強く、脳を疲弊させることがわかっています。原則は「15分やったら15分休む」とし、長くても1日30分を限度にしましょう。脳の疲弊レベルから考えると、「休日にまとめて2時間」よりは「毎日15分」のほうがよいということになります。
「ルールの決め方」も大事
ルール作りでは「ルールの内容」に加え、「ルールの決め方」も重要です。親が一方的に決めたルールを守らせるのは小学1〜2年生までが限度。3年生くらいからは親子で一緒にルールを決めましょう。
まず、1週間の行動を記録し、どのくらいの時間をゲームや動画視聴に費やしているかを可視化します。その記録を見ながら親子で話し合い、双方が納得できるルールを作りましょう。
ポイントは、「守らなかったときのペナルティ」と「ルールを守りたくなるようなご褒美」も決めておくことです。たとえば「ルールを守れなかったら1週間ゲーム禁止。でも、守れたら次の週は1時間分多くやってOK」といった具合です。
また、決めたルールは家族全員で共有しましょう。パパやママは毅然とした態度で、子どもがルールを守れるように促してください。
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子どもがゲームや動画視聴に夢中になるのはそれらが魅力的だからですが、裏返せば「現実世界が充実していないから」とも考えられます。親はルールを作ってコントロールするだけでなく、どうすれば現実世界が充実するかも考えてみましょう。
現実の社会で必要な力は、現実の自然環境や人間関係から得ていくものです。スポーツチームに入って仲間と汗をかく、休日は家族でキャンプに出かけるなど、デジタル機器から離れる時間をパパやママが積極的に作ってあげてください。
取材・文 片桐はな
帆足 暁子
公認心理師、臨床心理士。一般社団法人『親と子どもの臨床支援センター』代表理事。専門は乳幼児発達臨床心理学、保育臨床、子育て相談、子どものメンタルヘルス。『ほあしこどもクリニック』副院長として約20年、子育て相談や心の相談で子どもや親と向き合ってきた実績がある。 【主な著書】 『0.1.2.歳児 愛着関係をはぐくむ保育』(学研プラス)
公認心理師、臨床心理士。一般社団法人『親と子どもの臨床支援センター』代表理事。専門は乳幼児発達臨床心理学、保育臨床、子育て相談、子どものメンタルヘルス。『ほあしこどもクリニック』副院長として約20年、子育て相談や心の相談で子どもや親と向き合ってきた実績がある。 【主な著書】 『0.1.2.歳児 愛着関係をはぐくむ保育』(学研プラス)