ゲーム・動画との上手な付き合い方 子どもの成長を妨げないためにできること

臨床心理士・帆足暁子さん「デジタル時代の子育て」#3 ゲーム・動画視聴のルールを作ろう

臨床心理士:帆足 暁子

「子どもがゲームをやめられない」「動画をずっと見ている」など、デジタルメディアとの付き合い方に悩むパパやママも多いでしょう。ゲームや動画視聴が子どもの発達に与える影響や、家庭でのルールの決め方について、20年以上にわたる子育て相談の実績がある、臨床心理士の帆足暁子さんに解説してもらいました。

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長時間のゲームや動画視聴が健やかな成長のさまたげになることも。  写真:アフロ

長時間のゲームや動画視聴は発達に影響する

子どもが年長〜小学生になると、ゲームや動画視聴にハマる子が増加します。小学生が公園に集まって鬼ごっこでなくオンラインゲームで遊んでいる様子も、今や日常的な風景といえるでしょう。

ゲームや動画の歴史はまだ浅いため、子どもの発達への影響は解明途中です。しかし、長時間行うことのデメリットはいくつかわかってきています。

まず目への影響が挙げられます。小さな画面を長時間見続けると、内斜視(右眼か左眼どちらかの視線が内側に向かっている状態)になりやすくなります。さらに、視神経は近距離と遠距離を見ることで発達しますが、画面を見続けると視点を近距離で固定してしまうので、見る機能が発達しにくくなる恐れがあります。

次に「発達に大切な時間」が削られること。子どもの発達では、環境に興味を持って自発的に関わり、五感を通して知識を獲得しながら世界を広げていくことが重要です。例えば、葉っぱを見て「おもしろい形だな」と興味を持つと、そこから「筋(葉脈)がきれい」「緑色が濃い葉のほうがかたい」「こするといい匂いがする」などと世界を広げていきます。

また、人間が成熟していくためには、実は「何もしない(刺激を受けない)時間」も重要です。何もせずにぼんやりと、自分は何が好き、嫌い、人にどんなことをされると悲しい、嬉しい……などとつらつらと考えていると、自分の感情や考えを整理できたり、意外な本心に気づいたり。こうした自我を認識することは、自分をストレスから守る方法や、人生を楽しむ方法を獲得することにつながっていくのです。

1日のうち、子どもが自由に過ごせる時間には限りがあります。ゲームや動画によって「能動的に遊ぶ時間」や「何もしない時間」が消滅してしまうのは、健やかな成長から離れていってしまいます。

ゲームや動画視聴にはメリットもある!

一方で、ゲームや動画視聴にはメリットもあります。ゲームは「こうすればこうなる」と決まっているので、論理的思考や合理的思考が身につくといわれます。また、学校教育でもタブレットの普及が進んでいるように、デジタル機器は今後も様々な分野に広がっていくので、抵抗感をなくしておくのはいいことでしょう。

動画では現実には体験できない世界を見ることができますし、世界中の人々とつながることも可能です。「検索機能のせいで子ども達が自分の頭で考えなくなってきている」という意見もありますが、逆に検索のおかげでどんどん知識を得ていくこともできるので、学力や思考力への影響は使い方次第といえるでしょう。

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