子どものおちんちん・おまたはどう洗えば正解? ママ泌尿器科医が教える正しいケア
ママ泌尿器科医・岡田百合香先生「おちんちんの教科書」#2 ~おちんちん・おまたのケア~
2022.09.21
泌尿器科医:岡田 百合香
子どもの性器とかかわるうえでの大前提
岡田先生は、おちんちんを通した性教育についても積極的に取り組んでいます。小さな子どものころからできるのが、「プライベートゾーン」の話です。
プライベートゾーンとはからだの中で性に関わる大事な場所のこと。水着で隠れる部分と、口を指します。
子ども自身が正しいセルフケアをしていくベースの知識として、この「プライベートゾーン」を、子どもに伝えていく必要があります。
「我が家の息子も、言葉がわかるようになった3歳ごろから、性教育をはじめました。入浴時におちんちんを洗うときに、話しかけるんです。
『ここはプライベートゾーンっていって、大事なところだよ。今はママが洗ってあげているけど、自分で洗えるようになるといいね』というふうに。最初は一方的にですが、習慣的に語りかけながら洗っていました」(岡田先生)
親子で性の話をはじめるのには、毎日の入浴時がおすすめのタイミングだと岡田先生。
「相手が小さな子どもであっても、必ず、触るときに『ママ洗うよ』、『触っていい?』と問いかけます。あなたのプライベートゾーンをちゃんと大事にしている、ということが子どもたちに伝わるといいなと思っています」(岡田先生)
また、子どもが自分自身の性器を洗うようになるころには、正しいセルフケアの仕方を教えておきたいものです。
「こちらも日常的に、『おちんちんは、こうやってちょっと皮を下げて、洗ってあげるといいよ』と伝えます。おしっこするときにも『立ってするときには、皮をすこし下げるとまっすぐ飛ぶんだよ』とか。
プライベートゾーン、性器の洗い方や扱い方、性教育の話って、そのための時間をつくって、かしこまってじっくり話す機会をもうける、というよりは、毎日の生活のなかでいかに自然に組み込んでいくかが大事だと思っています」(岡田先生)
いつまで異性の親子で入浴していいの?
娘がいるパパから、「何歳まで一緒にお風呂に入っていいの?」という疑問が出ると、岡田先生。
「明確な線引きが難しい問題ですが、異性の親であれば、一緒に入浴するのは子どもが小学校低学年くらいまで、と考えています(※)。また、子ども自身が違和感や抵抗感を感じたら、親子で入浴をやめるタイミングになります」(岡田先生)
※東京都の条例「公衆浴場における衛生等管理要領」では、令和4年1月1日から、都内の公衆浴場の混浴制限年齢を10歳から7歳に引き下げた。
これも、「プライベートゾーンは人に見せたり触らせたりしない、自分だけの大事なところ」という統一見解を家族で持っていることがベースになります。
「家族だからとか、家のお風呂だからという例外は気軽に作るべきではない」と岡田先生。しかしながら、日本は公衆浴場の文化もあり、プライベートゾーン指導との兼ね合いが難しい側面もあると語ります。
「同性同士であっても性器を見せたくないという方もいますし、個人的には入浴着という選択が増えたらいいなと思っています。
家庭でも社会でも、大人が子どもに対して『あなたのプライベートゾーンをちゃんと守ろうとしています』というメッセージを伝え続けていくことが大事です」(岡田先生)
子どもへの性教育に興味や関心をもつ親が増え、それに対しての情報も多い現代。子どもに言葉で伝えるだけでなく、親が実践していくことが大事です。
次回は、おちんちんの触りグセや、知っておきたい病気やトラブルについてをうかがいます。
取材・文/遠藤るりこ
PROFILE 岡田百合香(おかだ・ゆりか)
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。
※岡田百合香先生「おちんちんの教科書」連載は全4回。第3回は2022年9月22日、4回は9月23日です(公開日時までリンク無効)。
#3 「子どものおちんちん触りやシモネタは止めなくてOK!」泌尿器科医が教える注意すべき規準
#4 「おちんちんはむけてないとダメ!」は間違い! ママ泌尿器科医と考える新しい性の価値観
#1 子どものおちんちんはむくべき!? 7000人の男性器を診たママ泌尿器科医が伝授
遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
岡田 百合香
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。 『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)。
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。 『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)。