ベビーカー専門家が徹底調査! 用途別「移動最適ベビーカー」厳選ベスト5

安全・快適な「ベビーカー移動」のために2023 #4~「ベビーカージャーナリストに聞くオススメ機種」編~

ライター:遠藤 るりこ

「バス」「電車」「新幹線」「飛行機」「自転車」「長距離徒歩」と6つの移動手段別に、それぞれ最適な機種も挙げてもらいました。

どの移動手段を多用するかによって、それぞれ適した機種をピックアップ。

「バスを多用する生活を送っている方は、利用が想定されるエリアの車内が混雑しているのか確認しましょう。

乗車時に折りたたんだほうが良い、というシーンが想定されるのなら、サッとたたんで肩がけできたり、持ち上げられるものがベストです。

もちろん、展開したまま乗車し、通路を走行することも考えて、横幅コンパクトな機種をオススメします」(下田さん)

この条件を満たすのが、「YOYO²」(ベビーゼン)と、「クイッド2」(イングリッシーナ)の2台。折りたたんだ際のサイズ感だけでなく、「YOYO²」には肩掛けストラップが、「クイッド2」は本体横にハンドルがついていて、ラクラク持ち運びができるという点が特徴です。

「電車をよく使うなら、駅改札幅の目安である55cmに着目して選びましょう。駅にエレベーターがあるとしても、それを使うと遠回りになるなら大階段の持ち運びを想定して選ぶ視点も大事です。

エレベーターが使える・小階段程度なら『バタフライ』(バガブー)。大階段なら『YOYO²』(ベビーゼン)がベストですね」(下田さん)

駅の階段などでは子どもを抱っこ、ベビーカーは持ち運びするシーンも想定される。  写真提供:バガブージャパン株式会社
たたんだ状態で持ち運びできるかどうかが、公共交通機関の利用では重要なポイント 写真提供:株式会社ストッケ

帰省や旅行で飛行機・新幹線などを使うことが多々想定される場合は、それに適した一台を選んでも。

「飛行機に乗ることが多いなら、機内持ち込み可のものを選びましょう。近年は、旅行会社の規定が変わりつつありますが、スムーズな乗り継ぎや搭乗口ギリギリまでの移動を叶えてくれるのは『リベル』(サイベックス)一択。

国内・海外のメジャーエアラインの要件を満たしかつ性能を求めると、現状で『リベル』以外は考えられません」(下田さん)

デビューから瞬く間に人気となったリベル。日本の住環境や移動状況に適している」と下田さん。  写真提供:CTP JAPAN株式会社

新幹線では、長時間の足もと保管か、網棚に積んでの保管ができるものがオススメ、と下田さん。

「収納性がよく、コンパクトになる機種として、『YOYO²』、『クイッド2』、『バタフライ』、『リベル』の4台を挙げます。

ベビーカーの乗車に便利な座席もあるので、座席選びは事前に窓口で相談するなど計画的にしたいところ。場所によってはそのまま乗車できるので、そうするとお世話が格段に楽になります」(下田さん)

子どもが長く乗ってくれるのもポイント

移動は自転車で、目的地だけでベビーカーを使いたい場合もあります。

「個人的にはあまり推奨しませんが、自宅から駅までが遠く、自宅→自転車→駅利用をする人もいますよね。特に、地方都市に多いと思います。そんなときには『自転車カゴに積める』ものを。

『リベル』(サイベックス)は、一般的なカゴにも乗るサイズに折りたためます。ただ、ベビーカーを自転車に積んでの走行にはくれぐれもご注意を」(下田さん)

さらに、公共交通機関の利用より、長距離の徒歩移動が主な親子には以下の2台がオススメです。

海外ベビーカーの定番機種・バガブーのビー6は、他に類を見ない抜群の走行性。  写真提供:下田隆一郎

「僕個人の願いとしては、押し心地よく、サスペンション性能が高い乗り心地の良いものに乗ってほしい。そして、荷物カゴにたくさん荷物を積めるものがベストですね。『ビー6』(バガブー)と、『バタフライ』(バガブー)なら、徒歩の公園遠征、買い出しもラクです」(下田さん)

「公共交通機関において、子連れで安全な移動を考えた場合、6ヵ月以下の子は抱っこひも移動がベスト」と下田さんは続けます。

「今、都心部ではサイベックスのリベル(生後6ヵ月程度から利用可)がとても売れています。どこを見てもリベルを押している親を見つけることができるでしょう。

リベルをはじめ、今回セレクトしたベビーカーは生後6ヵ月程度から利用可なモデルが多いです。僕は、生後6ヵ月以上の月齢からのベビーカー利用を推奨しています」(下田さん)

さらに、移動に便利という観点だと、出先でジャマにならない小さなものが選ばれがちです。しかし下田さんは「子どもがご機嫌で長く乗ってくれるかどうかという点も、移動に便利に含まれるポイントなんですよ」と、新たな視点も。

確かに、肝心の子どもがしっかりとベビーカーに乗ってくれないと、いくら軽くてコンパクトになる機種であっても、意味がありません。子どもの乗り心地の良さは、「ご機嫌に乗ってくれる時間が長いもの」で測るのもひとつの手です。

近年は、モビリティに特化したもの、日本の住環境に適した収納性の良いものとして、「いかにコンパクトになるか」を各ブランドが競い合っている傾向にある、と下田さんは言います。

「スペックや機能性は重要です。でも何より僕は、『親がストレスなく押せるものかどうか』がもっとも重視されるポイントだと思います。

親が楽しく出掛けられる=子どもがご機嫌で乗ってくれるということ。大人の不安は子どもに伝わるものだと思うので、ストレスなく楽しく押せる1台を、納得して見つけられるといいですね」(下田さん)

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公益財団法人児童育成協会が2019年に実施した「子育て中の親の外出等に関するアンケート調査」(※1)では、多くのパパママたちが、子連れ外出の不安を抱えていることがわかっています。

特に女性は男性よりも積極的な外出意欲が低く、多くの不安を抱えているという結果が出ています。主な危険・困難経験としては、子ども連れのスムーズな行動や移動を妨げる物理的な環境が挙げられ、中には「公共交通機関の乗降」なども。

さらに、世間の白い目、おせっかい、口出しなどの「対人ストレス」も多いことがわかっています。しかしながら、2010年に実施された同調査と比べると、いずれも改善の兆しが見られています。

国土交通省「子育てにやさしい移動に関する協議会」の久島勇一さんも、「ゆっくりではあるが、子育て世代の移動についての理解は進んでいると実感している」と話します。

子連れ外出のトラブル、ベビーカー移動への賛否が取り上げられるたびに、子育て世代の当事者たちは萎縮したり、世間との溝が深まり孤立した気分になってしまうこともあるでしょう。

私たちは、ベビーカー移動で困っているママパパはもちろん、さまざまな心身の特性や考え方を持つすべての人にとって、「お互い理解を深め、支え合うことのできる気持ちの良い社会」とは何か、そしてそれをどう実現していくかについて、これからも考え続けていかなければなりません。

取材・文/遠藤るりこ

※1=公益財団法人児童育成協会 「子育て中の親の外出等に関するアンケート調査」

取材協力/
東京ベビーカーDB:下田隆一郎さん(管理人パパ)
ベビーゼン YOYO²(ヨーヨー2):株式会社ストッケ
イングリッシーナ クイッド2:カーサリッチ株式会社
サイベックス リベル:CTP JAPAN株式会社
バガブー ビー6、バガブー バタフライ:バガブージャパン株式会社

関連サイト/
東京ベビーカーDB:下田隆一郎さん(管理人パパ)➡︎サイトを見る
ベビーゼン YOYO²(ヨーヨー2):株式会社ストッケ➡︎サイトを見る
イングリッシーナ クイッド2:カーサリッチ株式会社➡︎サイトを見る
サイベックス リベル:CTP JAPAN株式会社➡︎サイトを見る
バガブー ビー6、バガブー バタフライ:バガブージャパン株式会社➡︎サイトを見る

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えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe