男児の性被害 幼い子どもから思春期まで 早期発見のポイントと被害を知った親の対応

専門医・山田浩史医師に聞く 男児の性被害#3「SOSのサイン&被害を打ち明けられたら?」

「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」副センター長、泌尿器科医:山田 浩史

家庭で性の話をタブーにしない

文科省は2023年度から、全国の園・学校で「生命(いのち)の安全教育」(※2)という学習指導を推進しています。

子どもたちを性暴力の被害者、加害者、傍観者にしないという目的で、プライベートゾーンやインターネットでの出会いにおける注意点、性暴力とは何か、性暴力の被害にあったときの対応などを段階的に学ぶものです。幼児期から高校、大学、一般まで対象年齢別に、指導の手引きがあります。

※2=「生命(いのち)の安全教育」(文部科学省)

最近の子どもたちは、性について学ぶ機会が増えつつありますが、親世代は学んできていないため、恥ずかしいと感じたり、どう話していいのか戸惑うことも多いかもしれません。

しかし、家庭内でも性に関する話がフランクにできるようになるといいと、山田先生は言います。

「たとえば子どもが『おちんちんを出したらみんなが笑って……』と言ったとしたら、親はアハハと笑って流したり、『やめなさい』と注意して終わりにしたりするのではなく、『そこは大事なところだから、見せてはいけないよ』とちゃんと伝えてあげてください。

体の大切な部分は見せない、触らせないというプライベートゾーンのルールについて教えること。性教育というと少し大げさに聞こえるかもしれませんが、幼いときからそんな話をおうちで伝えていくことが、被害者も加害者も減らしていくことにもつながると思います」(山田先生)

家庭で「性」の話を普段からすることは、いざというときに子どもが相談しやすい関係作りの一助となるはず。日頃からコミュニケーションを大切に、子どものSOSサインをキャッチし、対応が遅くなることがないよう親は心がけていきたいですね。

「男の子だから」「うちの子は大丈夫」といったことは決してなく、誰にでも起こり得る性被害。男性(男児)の性被害がある事実もようやく認知が広まり、社会で問題視されつつありますが、まだまだ表面化しづらく、見逃されやすいのも現状です。

子どもを性暴力の被害者にも加害者にもしないために、また、被害にあったときにはできるだけ早く気づいてあげられるよう、親の認識も意識的にアップデートしていくことが大切ではないでしょうか。

性被害にあった際の相談先

■性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(最寄りのセンターにつながります)
#8891(はやくワンストップ)

■性犯罪被害相談電話(最寄りの都道府県警察につながります)
#8103(ハートさん)

■性暴力に関するSNS、メール、チャット相談「Cure time」

取材・文/稲葉美映子

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やまだ ひろし

山田 浩史

Hiroshi Yamada
「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」副センター長、泌尿器科医

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院泌尿器科副部長。泌尿器科医。医学博士。「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」副センター長。...

いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息...