自然災害が多発する国・日本。台風、大雨、大雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火など、誰もが被災する危険があります。いざという時に大切な家族を守るため、防災の準備は欠かせません。
本企画では、東京都防災部発行のパンフレット「『日常備蓄』で災害に備えよう」で防災レシピを提案している、料理研究家の井上真里恵さんに「子どもの防災食」を教えてもらいます。
井上さんが提唱するのが、食材や缶詰など日持ちする加工品を常備し、ふだんの食事にも使用。使った分だけ新しく買い足して防災食を備蓄し続ける「ローリングストック法」です。
前編では1歳までの赤ちゃん向けのローリングストック法について伺いました。後編では、離乳食を終えた1歳ごろから小学校入学までの幼児向けの防災食と、避難所でも簡単に作れる非常食レシピを教わります。
前編を読む
子どもが喜ぶものを備蓄する
幼児のためには、どのような防災食を準備しておけばよいのでしょうか?
「避難所で配られるのは、おにぎり、カップ麺などが多く、栄養面は糖質中心になりがち。バランスを考えて自分で備蓄する食材はたんぱく質、ビタミン・ミネラル、食物繊維がとれるものを意識します。
例えば缶詰(肉、魚、豆、野菜、果物)、乾物(ひじき、わかめ、野菜)、野菜ジュースなどがよいでしょう。3日分を目安に用意してください」(井上さん)
商品を選ぶ際に注意しておくことはありますか?
「ローリングストック法は、防災食の備蓄を日常化し、それらを定期的に食べて、その分を買い足していく方法。子どもの備蓄食品には子どもたちが慣れ親しんでいる好きなものを用意しておきましょう。
避難所での生活は、子どもに大変な緊張とストレスをもたらします。大好きなキャラクターが描かれたものや、ふだんならちょっとしたご褒美になりそうな商品をチョイスしておくと、少しでも子どもの緊張をやわらげることができます」(井上さん)
好きな食べ物は災害時のストレスをやわらげます。食欲がないと言いながら、おやつは食べるという子どももいます。
「食べ慣れている好みのお菓子に加えて、少しでも栄養をとるためにドライフルーツや小魚ナッツなど栄養のあるおやつ、カルシウム、ビタミンなどが強化されたおやつ、栄養補助食品なども備蓄しておくと安心です。
飲みやすい野菜ジュースもあるので、ふだんからいっしょに親しんでおくのもよいでしょう」(井上さん)
大人も子どもも食べられる食品を選ぶ
離乳食が完了した子どもは大人とほぼ同じようなものを食べられますが、非常時の食事で注意すべきことはなんでしょうか?
「アレルギーのあるお子さんをお持ちの方は、避難所などで配布される食品の原材料に気をつけましょう。食べられるものが限られる場合は、備蓄を多めにしておくと安心です。魚や肉の缶詰、レトルトのおかずやごはんなど、子どもと分け合えるような食品を選ぶのもコツです。
避難するときに両手が空くよう、備蓄品はリュックに詰めてすぐに持ち出せるところに保管します。長期保存できるものなら数個の収納バックに分け入れて、玄関、寝室、クローゼット、車庫、ベランダ(日陰)などに分散しておいておくと、家具等が倒れたりしても取り出せるところが見つかるでしょう」(井上さん)
備蓄がなくなると避難所で配布される食事を食べることになります。子どもが好き嫌いせず食べるような工夫はできますか?
「子どもが苦手な食材も、味付けや見ためを変えるだけで食べてくれることがあります。ケチャップ、しょうゆ、味噌、めんつゆなど、子どもの好きな味の調味料を備蓄しておくのもおすすめ。味気ないごはんも調味すればおいしくなり、食欲を刺激してくれます」(井上さん)