なんてあたたかい家族なんだろう
夫は3人きょうだいの長男で、私と義実家との関係も結婚当初から良好でした。
帰省のたび、優しいお義母さんは「何もしなくていいから、ゆっくりしてね」と私を気遣ってくれました。こまめで気がきくお義父さんは、食事の準備や片付け、洗濯までそつなくこなすタイプ。はじめて義実家に帰省したときは、「こんなに家事をする父親っているんだ」と驚いたほどです。
「○○ちゃんみたいな子がお嫁さんに来てくれて嬉しい」
「妹と弟も結婚して家庭を持ったら、もっと賑やかになるだろう。それが老後の楽しみだ」
そう話す義両親を見て、私は「なんてあたたかい家族なんだろう」と微笑ましく思っていたのです。
勘違い? 義父に感じた違和感
長男を出産したあと、しばらくは義実家への帰省は難しいと思っていました。義両親に相談すると、「赤ちゃんの顔も見たいし、こちらから会いに行くよ」と言ってくれたのです。
私や子どものことを気にかけてもらえたことが素直に嬉しくて、私たちは義両親の訪問をありがたく受け入れることにしました。
たまたま日程が合い、義両親は夫のきょうだいとともに都内のわが家へやってきました。帰省したときと同じく、なにかと家事を手伝ってくれる義両親。産後の体をいたわってくれる場面も多く、私は疲れることなく、にぎやかで和やかな時間を過ごしたのです。
ただ、その時に一つだけ気になる場面がありました。お酒が入り上機嫌になったお義父さんがこう呟いたのです。
「家族はな、こうやって集まるのが当たり前なんだ」さらには「子は宝って言うしな。2人目はいつだ? 3人は絶対だぞ!」と。
私は「仕事に復帰したいと思っているので、まだちょっとわからないですね……」と正直に答えたのですが、私が返事をした瞬間、お義父さんの表情が、一瞬、変わったように見えたのです。どことなくカッとしたような表情でした。
すぐにお義母さんや夫が話に割って入ってきたので、私は「勘違いだったのかな……」と思い直しました。しかし、これまでのお義父さんが穏やかな人だっただけに、初めて見るその表情がなぜか心に引っかかりました。けれど私は『気のせいだ』と自分に言い聞かせて、その場をやり過ごしたのです。
理想の家族が目の前に
その後、夫のきょうだいたちはそれぞれ結婚・出産し、私たち夫婦にも第2子となる女の子が誕生。義両親にとっての孫が増えていきました。
そんなある日、義実家を建て直すという連絡が届きました。築80年の古い家だったので、帰省のたびに不便さを感じていた私たち夫婦には、とても嬉しい知らせでした。「これからは泊まりやすくなるね」と、のんきに喜んでいたのです。
それからしばらくして建て直しが完了し、リフォームのお披露目と父の日のお祝いを兼ねて、親族一同が集まりました。
新しくなった義実家に子どもたちは大喜び。いとこたちと一緒にはしゃいで走り回り、大人たちは笑顔で子どもたちの様子を見守ります。そこには、まるで「理想の家族」のような空気が流れていた気がします。
お義父さんがお酒を飲み始めると、お義母さんがそっと「今日はあまり飲まないでね」と言葉をかけていました。当時の私は、それをお義父さんの体調を気遣っているだけだと思っていたのです。
































