レ・ロマネスクTOBIの弱点を受け入れる“苦手回避の子育て”とは?

レ・ロマネスクTOBIさんインタビュー#2~自分の子育て編~

子どもとキャッチボールはやらなくていい

TOBIさんの小説『七面鳥 山、父、子、山』(リトルモア刊)には、野球に関するほろ苦いエピソードがあります。

TOBIさんが小学5年生のときのこと。父親が少年野球の監督をやっていた関係で、野球の試合にむりやり出場させられることに。

しかし、運動が苦手で野球は未経験。緊張も相まって、初打席で気絶してしまいます。ちなみに、そのときのピッチャーは谷繁元信(元・中日ドラゴンズ選手兼監督)さんでした。

それ以来TOBIさんはボールに触ることすら避け、未だに我が子とキャッチボールすらしたことがありません。そして、今後子どもが誘ってきても、キャッチボールをするつもりはないと語ります。

「でも、なぜしたくないかを子どもにちゃんと説明します。親が子に、苦手なことや嫌いなことを隠す必要はないので。親だって万能じゃないし間違うこともある。

子どもの見本になるべきという考え方は理解できますが、それは『人を思いやる気持ち』や『倫理観』においてであって、欠点のない人間を示す必要はありませんよね?」

「反対に、子どもが嫌がることを、ためになるからといって子どもに無理強いするつもりもないです」(TOBIさん)
写真:水野昭子

過程にこだわらず 家族みんなが楽しく生きる方法を模索

TOBIさんが大切にしているのは、親と子が別の人間として、それぞれが楽しい人生を送るためにどうすればいいか。フランスの子育て文化や自身の育った環境も参考に、家族が幸せに生きる方法を模索しています。

またTOBIさんはインタビューの中で、子育てにおける「あるある」への疑問も吐露していました。

「『これをやると良くない』『こうすると子どもがどうなる』とか、日本は子育てに関する情報がとても多いと感じます。

でも、子どもによって性質が異なるため、好転する子もいるだろうし、効果がない子もいるはず。それを攻略マニュアルのように子どもに当てはめて、一喜一憂するのは違うかなと。

親が自由に子育てしづらい風潮があるような気がします。そういう人には『うちの型破りな父を見てごらん』といいたいですね(笑)」

TOBIさんは「子育てってこうだよね!」「あるある!」といった画一的な「こうすべき」には懐疑的です。そういったものを過度に意識せず、大切なのは家族みんなが楽しく生きられる方法を模索する。苦手なことはやらなくていい。それが、TOBIさん流の子育て論です。

第3回では、慶應義塾大学卒業という高学歴のTOBIさんに勉強について伺います。

TOBIさんの作家デビュー小説『七面鳥 山、父、子、山』(リトルモア刊)。自身の幼少期を舞台に、父親との関係を描いている。

取材・文/井上良太(シーアール)

※TOBIさんのインタビューは全4回。
次回(#3)は21年11月1日公開予定です(公開日までリンク無効)。

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レ・ロマネスクTOBI

アーティスト

●レ・ロマネスクトビー  広島県比婆郡(現在の庄原市)出身。フランスで結成された音楽ユニット「レ・ロマネスク」のメインボーカル。相方・MIYA(ミーヤ)と、ピンク色のコスチュームで歌い踊るキッチュな楽曲とパフォーマンスで人気を集め、2008年春夏パリコレでのライブをきっかけに、世界12ヵ国50都市以上で公演。09年、フランスの人気オーディション番組に出演した動画のYouTube再生回数がフランスで1位を記録し、「パリで最も有名な日本人」となる。 2011年のフジロック出演を機に日本に拠点を移す。精力的にシングル・アルバムをリリースし、2013年には『お伝と伝じろう』(NHK Eテレ)のメインキャストに抜擢(2022年現在も放送中)。2018年には、自らの稀有な体験をまとめた書籍『レ・ロマネスクTOBIのひどい目。』(青幻舎)が話題になる。 近年は、ラジオパーソナリティ、『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日)のタッセル役をはじめとする俳優業、自伝小説『七面鳥 山、父、子、山』(リトルモア)の刊行など、ますます活動の幅を広げている。2児の父。 「キューブ」オフィシャルHP 「レ・ロマネスク」オフィシャルHP レ・ロマネスク公式Twitter レ・ロマネスクTOBI 公式Twitter

●レ・ロマネスクトビー  広島県比婆郡(現在の庄原市)出身。フランスで結成された音楽ユニット「レ・ロマネスク」のメインボーカル。相方・MIYA(ミーヤ)と、ピンク色のコスチュームで歌い踊るキッチュな楽曲とパフォーマンスで人気を集め、2008年春夏パリコレでのライブをきっかけに、世界12ヵ国50都市以上で公演。09年、フランスの人気オーディション番組に出演した動画のYouTube再生回数がフランスで1位を記録し、「パリで最も有名な日本人」となる。 2011年のフジロック出演を機に日本に拠点を移す。精力的にシングル・アルバムをリリースし、2013年には『お伝と伝じろう』(NHK Eテレ)のメインキャストに抜擢(2022年現在も放送中)。2018年には、自らの稀有な体験をまとめた書籍『レ・ロマネスクTOBIのひどい目。』(青幻舎)が話題になる。 近年は、ラジオパーソナリティ、『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日)のタッセル役をはじめとする俳優業、自伝小説『七面鳥 山、父、子、山』(リトルモア)の刊行など、ますます活動の幅を広げている。2児の父。 「キューブ」オフィシャルHP 「レ・ロマネスク」オフィシャルHP レ・ロマネスク公式Twitter レ・ロマネスクTOBI 公式Twitter