「探究実践」の達人が考えた「Feel度Walk」 30人に密着取材してわかった親子が夢中になる理由

【今こそ学力観のアップデートをするとき】親子で探究実践#2「Feel度Walkレポート」

歓声が湧き上がる「発表タイム」

発表は、各グループの模造紙の周りに他の参加者が集まり、市川さんが発表者に何を描いたのか、どんなところがおもしろかったのかを聞いていくスタイルで進みます。

写真と描いた絵を見比べながら、発見をシェアしていきます。  写真:川崎ちづる

小学生のAさんは、歩いている途中で学校の壁を走るリスに遭遇し、その様子を書きました。「リスがさーっと走り抜ける感じがよく出ているね、しっかりと見て描けているなぁ」と市川さんが感心すると、Aさんも得意げです。

Aさんが描いたリスが走る様子。  写真:川崎ちづる

Bさんは、電柱に貼ってある住所表示をスケッチしました。「僕の家の近くの電柱には、住所は書いてあるけれど、『高さ』は書いていないので気になりました」との発表。「そうか、君の住んでいる○○市には標高は書いていないんだね、違いに気づいたんだ!」と市川さんがコメントします。

道のカーブが気になったというCさんは、こんなふうに説明します。「道が曲がっている感じが、川の蛇行に似ていると思ったんです。昔はこの道は小川で、そこを埋めて道路にしたのかな、なんて考えました」。参加者にも、「確かに」「こういうカーブ、この近所には多いかも」と気づきがシェアされていきます。

Cさんが描いたのは、道のカーブの曲がり具合でした。  写真:川崎ちづる

「虫になったつもりで、カメラを地面に近づけて写真を撮った」というDさん。水道の蛇口を、下から空に向けて撮った様子をスケッチしました。「うわー、普通水道の蛇口って上からしかみないもんな、すごいなぁ、こんなふうになってるんだ!」と市川さんも興味津々です。

そして、先ほど側溝に集まって調査をしていた子の一人、Eさんは、側溝の中にスマホを入れて撮った写真を描きました。市川さんは、「あの小さな穴からスマホを入れたのか! すごいな。暗い感じがしっかり表現されているね」とその描写力に驚きました。

Eさんのスケッチ。側溝の小さな穴からスマートフォンを入れて写真を撮り、その様子を描きました。  写真:川崎ちづる

このように、一人が発表するたびにメンバーから歓声があがり、市川さんも「よくそんな細かいところまで気づいたね。素晴らしい」「君の視点は独特だね」などとコメントします。最後は拍手で次の人へ。30人分の「気づき」がシェアされました。

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