「探究実践」の達人が考えた「Feel度Walk」 30人に密着取材してわかった親子が夢中になる理由

【今こそ学力観のアップデートをするとき】親子で探究実践#2「Feel度Walkレポート」

大人も子どもも「仲間」になっていた!

次に、学校で「Feel度Walk」するグループに追いつくと、木登りしている子どもたちを発見しました。

木の幹に気になるものがあった様子です。  写真:川崎ちづる

何を見つけたのか聞いてみると、木の幹に大きな空洞ができていて、その中がどうなっているのかを突き止めるために写真を撮ろうとしている、とのことでした

一緒にいた大人からスマホを受け取り、幹の穴の中に手を入れて撮影します。撮れた写真をみんなで見て、周辺の数人が歓声をあげます。「わ~、洞窟みたい」「なんか芸術的だね」「僕も撮りたい!」、すぐに好奇心の連鎖が広がっていきます。

「Feel度Walk」では、子どもと大人の連携プレーもよく見られます。  写真:川崎ちづる

そして、木に登る子の足を周りの子どもが押さえてあげたり、登っている間に大人がカメラを持ってあげたり、それまでまったく面識のない人たちと、自然と仲良くなっています。

お互いに助け合って、気になるものの写真を撮っていきます。  写真:川崎ちづる

一緒に歩き、なんとなく気になったものについて話したり、撮った写真を見せ合ったりしているうちに、子どもも大人も「仲間」になったようでした。

「知図」作りスタート

あっという間に時間が過ぎて会場に戻ってくると、模造紙とペン、色鉛筆が用意されています。

「どこでも好きなところでいいので、撮ってきた写真から1枚選んで、それを見ながらスケッチしてみてください」と、市川さんやスタッフの方が声をかけます。

当日はよく晴れた暑い日だったため、外を歩いてみなさん疲れているかと想像しましたが、そんな様子もなく、子どもたちはガヤガヤ楽しそうに、大人は和やかながらもどこか真剣な表情で、すぐに模造紙に向かって絵を描き始めました。

数名が一つの模造紙に集まりスケッチしていきます。  写真:川崎ちづる
黙々と絵を描いているグループもあります。  写真:川崎ちづる

途中、子どもたちからは、「写真1枚分じゃ足りないから、もっとたくさん描いてもいいの?」と元気な質問が、大人からは「う~ん、画力が足りない……」と唸り声が上がり、終始にぎやかなスケッチタイムが進んできます。そのたびに市川さんが、「しょうがないなぁ。特別に何枚描いてもよしとする(笑)」「絵が上手い下手は問いませんので、気にしなくて大丈夫です!」などと答えながら、笑いとともにその場の空気を和らげていきます。

みんなリラックスした様子です。  写真:川崎ちづる

歩いてみた感想、描いている絵のこと、それ以外のことも含めて周りの人と雑談をしながら、1時間ほどかけてそれぞれが絵を仕上げていきました。

描き終わった子どもたちは、さっさと庭に出て走り回り、楽しそうに遊ぶ姿も印象的でした。

そして、それぞれがスケッチしたものやなぜ気になったのかをシェアする「発表」へと移ります。

次のページへ 盛り上がる発表タイム!
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