493gで誕生した「リトルベビー」は入退院の連続〜5歳の今も月8回通院… どんな社会的支援が必要か?
小さな赤ちゃんに寄り添う手帳「リトルベビーハンドブック」#4 ~リトルベビー親子に必要なサポート~
2023.08.20
栃木県リトルベビーサークル「にちにちらんらん」代表:小林 恵
2011年に静岡県のリトルベビーサークルのママたちが当事者として初めて制作し、今では全国に拡がっている低体重児の育成を記録する“リトルベビーハンドブック”。2023年8月現在、38道府県で発行されています。
2023年3月には栃木県でもリトルベビーハンドブックが完成し、現在では県内のNICUや市役所などで配付され、リトルベビーの親子たちをサポートしています。
5歳の今も月8回の通院が継続中
「とちぎリトルベビーハンドブック」の制作に携わったのは、リトルベビーを育てる当事者サークル「にちにちらんらん」メンバーのみなさんでした。
その代表を務める小林恵さんは、5年前(2018年)に妊娠22週に493gで男児・かなめちゃんを出産しました。この春5歳になったかなめちゃんは、保育園の年長クラスで毎日友だちと一緒に楽しく遊んでいます。
「保育園はとても楽しいみたいです。でも息子は、やはりとても体が小さいんです。5歳になりますけど、フォローアップ通院は継続していますし、リハビリにも行っています。療育にも通っています。病院などに通っているのは月8日にもなりますね」(恵さん)
恵さんは、子どもが3歳の時点で幼稚園に入園させたものの、当初、周りの子どもとの体格や発達に差があったため、思うように園生活が送れない日々が続きました。
園とも何度も話し合ったが、園の教育方針に違和感を覚え、保育園への転園を検討します。
「保育園に入れるには、私が就労することが第1条件ですから、そこからフルタイムの仕事を探しました。
子どもの通院は多いうえに、就職活動もしなくてはならなくて……、その期間は本当にしんどかったですね。でも、幸運なことに仕事が見つかって、息子も保育園に入ることができました」(恵さん)
民間の医療保険には入れない
リトルベビーがいる家庭には保育園の問題だけでなく、金銭的な負担も重くのしかかります。
「まず、リトルベビーは民間の医療保険に入れないことが多いのです。審査のときにまず母子健康手帳(以下略:母子手帳)の提出が必須なので、その時点で記載事項を確認され、ほぼ審査に落ちます。
子どもの医療費は無料ですが、通院には交通費もかかりますし、入院時には必ず親が付き添うので、親の食事代や寝具代で費用はかなりかさみます。また、入院も1回や2回ではすまないケースが多いので、成長するまでを考えるとトータルでの負担は相当なものです。
息子もこれまでに数回手術を受けています。サークルメンバーのリトルベビーたちも、いつも誰かは入院しているような状態ですね。
民間の医療保険もそうですが、このような現状をケアするようなシステムが整っていくためにも、もっと支援できるような体制が整ってほしいと思います」(恵さん)
かなめちゃんの誕生日は3月28日。7月出産予定だったのが4ヵ月も早く生まれました。それは同時に、予定より1学年上になることにもつながりました。
「リトルベビーとして生まれて、今も体は同学年の子に比べると小さく発達もゆっくりです。さらに3月末生まれなので、クラスメイトたちの中では特に小さいんです。
友達には『小さくてかわいい!』といって仲良く遊んでもらえているようですが、本人は何ごともついていくのに一生懸命。見ているといつもがんばっているような感じですね。
集団の中で、いろんな友達と出会い、刺激されるのはいいことだとは思いますが、もう少しのびのびと過ごさせてあげたいとも考えています」(恵さん)